ヒトとコトと

商品に携わる人と想い、伝えます。

JA愛知みなみ・JA豊橋それぞれの農業への情熱に触れて。生産者さんにちゃんと、「ありがとう」を伝えたいな。JA愛知みなみ・JA豊橋それぞれの農業への情熱に触れて。生産者さんにちゃんと、「ありがとう」を伝えたいな。

商品が生産者から組合員さんのもとに届くまでにはさまざまな人の想いがあり、人の手を経ています。コープでは、「フードチェーン」の取り組みの一つとして組合員さんが実際に産地を訪れて食材が育つ土地と過程を見学し、生産者さんと交流する「産地交流」を、大切にしています。「フードチェーン」とは、商品が組合員さんのもとに渡るまでに経るさまざまな人とのつながりのこと。今回は、国内有数のキャベツ産地のひとつである「JA愛知みなみ」と、最新鋭のトマト栽培に取り組む「JA豊橋」を訪ねました。

〜JA愛知みなみ〜
自然のやさしさ、厳しさ、
両方の恩恵を受けています。

JA愛知みなみのキャベツ畑

JA愛知みなみのある渥美半島は、全国でもトップクラスのキャベツ生産量を誇ります。広い農地を持ち、花や野菜などさまざまな農作物を育てている地域ですが、およそ50年前に豊川用水ができるまでは干ばつに苦しむ貧しい土地でした。今では緑色のキャベツ畑が辺り一面に広がります。それは水の力と、この地で作物を育ててきた生産者たちの努力によるもの。エコファーマーに認定された生産者が、温暖な気候・長い日照時間・冬の厳しい季節風の助けを借り、甘く歯ごたえのある減農薬のキャベツを育てています。

一年を通して日照時間の長い渥美半島は、「常春半島」と呼ばれるほど温暖な地域。気候に加え、この地方のキャベツ作りに欠かせないのが冬に吹く「からっ風」です。日本海側の季節風が山を越え、強く、冷たく、乾いた風となって半島に吹き荒れ、キャベツに付着する害虫や余分な水分を飛ばして病気を防ぎ、また霜が降りるのを妨ぎます。また、風の冷たさを感じたキャベツは、凍らないように自ら水分量を減らすので、甘みが凝縮され、味が濃くなり身がしまってしゃきしゃきとした食感のキャベツに育つのです。

JA愛知みなみのキャベツ部会「常春部会」が目指すのは、環境に優しいキャベツ作り。全会員が、化学肥料や農薬を減らす取り組みを行っている農家に与えられる「エコファーマー」に認定されており、地域全体で減農薬のキャベツ栽培に取り組んでいます。農薬の量をできるかぎり減らすために、キャベツの害虫を誘き寄せる「フェロモントラップ」を配置したり、収穫前に周囲の畑からの農薬飛散を防ぐ「黄色い旗運動」を実施したり、部会全員で畑の栽培管理記録を記帳し、出荷前にチェックを行います。

収穫2週間前になった畑に黄色い旗を立て、周囲からの農薬飛散を防ぎます

安定供給と減農薬の両立は簡単なことではありませんが、環境に配慮するだけではなく、自分たちの作るキャベツを安心して食べて欲しい、という想いからこのように徹底した品質管理が行われています。

産地交流で、風の冷たさに負けない
熱い想いを感じました

「風が強い!」、「寒い!」。JA愛知みなみに到着し、バスを降りた参加者から一様にこんな声があがりました。産地交流が行われたのは、ちょうどこの地域特有の「三河のからっ風」が吹き荒れる冬。現地の方は、「まだ、今日は風が弱い方です。本当に強い時は自転車が前に進まなくなりますよ」と話していました。

キャベツを栽培する河辺 直司さん、里江さんご夫妻

家族でキャベツ栽培を行う河辺(こうべ)さんが1日に収穫するキャベツの量は約300個。収穫は全て手作業で行われています。大きな外葉を抑えながら硬い芯を切る作業は意外に重労働。参加者の方が「寒いなかでの作業は大変ですね」と声をかけると、「苦労はしていません。冬は風が強くて大変だけれども、風のおかげで霜がつかずキャベツが育つので、からっ風はありがたく思っています」と話しました。キャベツひとつひとつに丁寧に刃を入れながら熱心に栽培について語る河辺さんの様子には、キャベツ作りへの情熱が溢れています。

ひとつひとつ、丁寧に手作業で収穫しています

産地交流に参加した組合員さんからは、「この寒風のなかで何時間も作業を行う生産者の熱意あってこそのキャベツだと実感しました。これからは無駄なく綺麗に食べたいです」、「天候に左右される農業は本当に大変な仕事だと実感しました。交流では、初めて知ることばかり学べました。実際に栽培を見られて感動です」という声が聞かれました。また、コープ職員も「生産者の説明から、キャベツへの愛情や真剣さが伝わってきたことが印象深かったです。私も生産者と同じような気持ちで商品を組合員さんに届けていきたいと強く感じました」と、気持ちを新たにしていました。

2017年 産地交流に参加する組合員さん・コープ職員
河辺さんご夫妻から直接お話を伺ったり、収穫体験を行いました

〜JA豊橋〜
勘でやる農業は終わり、
次のステップへと進んでいます。

JA豊橋 トマトの養液栽培を行っているハウスの様子

JA豊橋は愛知県東南部豊橋市に拠点を置く農業組合です。この地方は温暖な気候、全国トップクラスの日照時間、豊橋用水からの水の恵みを受けて、大規模な農業地帯となっています。

農作物を育てるのに適した環境に恵まれた豊橋地区ですが、現在、多くのJA豊橋のトマト農家が挑むのは、土を使わない養液栽培を機械やデータでコントロールし、ICチップでトマトの選果を行う「工場化」したトマト栽培です。
JA豊橋がこのように機械化したトマト栽培を行うのは、品質向上やコストカットという理由のほか、「若い人の新規参入」をしやすくするためでもあります。昔のやり方に固執せず、安定した品質のトマト栽培を次世代につなげたい、という想いからこのような新しい形での生産が行われています。

ここで行われている養液栽培とは、農作物の根を直接肥料を溶かした液に浸けて育てる農法です。トマトの養液栽培を行っている農家は全国的にみるとまだ少ないですが、JA豊橋のトマト生産者は65%が養液栽培でトマトを育てています。

溶液栽培の様子。トマトの木の根が肥料を溶かした液が流れる袋に根付いています

新しい手法ということもあり、挑戦する生産者はまだ多くはありませんが、養液栽培には様々なメリットがあります。まず、土を使わないので害虫の心配がなく、湿度が原因の病気のリスクも少ないため農薬の使用を必要最低限に抑えられます。また、ハウスの中はコンピューターシステムでその時のトマトの状態に最適な温度が保たれるため、冷害などの影響を受けず、安定した出荷につながります。さらに養液の濃度と水分量のバランスもコントロールできるため、木よりも実に養分を優先させることで甘いトマトを育てることができます。

「工場化」が進んでいるのは、トマトを育てるハウス内だけではありません。トマトを選別し、出荷する選果場にも最新技術が投入されています。

JA豊橋 トマト選果場 箱詰めも機械化されています

選果場では、通常の糖度センサーよりもさらに高精度の検査機器を使用。トマトを一つずつ専用のICチップ入りトレーに乗せて、糖度・色・形・傷・かたさを計っています。糖度によってトマトのブランドわけをしているJA豊橋。抜き打ちで行われる糖度チェックで規定に満たなかったトマトは出荷することができないため、生産者は常に+1度の余裕を持ってトマトの出荷をしています。

一つずつベルトコンベア上のICチップ入りトレーに乗せ、糖度・色・形・傷・かたさを計っていきます

産地交流で新しい農業に挑戦する
生産者の想いを実感

生産者さんの伊藤さんご夫妻のハウスでミニトマトの収穫体験を行いました。

JA豊橋 伊藤 充治さん、めぐみさんご夫妻

伊藤さんは高糖度のミニトマトブランドとして知られている「あまえぎみ」の「クレアシリーズ」を育てています。「あまえぎみ」は色と風味でさらに数種類のシリーズに分けられており、クレアシリーズは、細長いプラム型とフルーツのような甘みが特徴です。

細長い形が特徴のクレアシリーズ。伊藤さんご夫妻のハウスでは黄色・オレンジ色・赤色のクレアを育てています

この時期、伊藤さんの育てたクレアシリーズの糖度は平均10度以上もあり、試食した組合員さんからは、「フルーツみたい!」という声が聞こえました。
トマト生産歴29年、養液栽培歴11年の伊藤さんは「土耕ではやりたいことをやりつくしました。だから、新しいことをやろうという想いで養液栽培を始めたんです。土での感覚はすべてまっさらにし、いちから取り組みました。『トマトのリーディングファクトリーはJA豊橋だ』というプライドがあるので、これからもどんどん新しいことをしていきたいです」と語ります。

産地交流を終えた組合員さんからは、「今回、近代化した新しい栽培を見てとても新鮮に思いました。トマトが苦手な私も食べられるほど甘くおいしいトマトに感動です」、「新しいことに挑む生産者さんのいきいきとした顔と熱意においしいトマトを作るための情熱を感じました」という感想が聞かれました。

2017年 産地交流に参加する組合員さん・コープ職員
収穫体験・その場で試食も行い、「フルーツみたい!」「甘くておいしい」と声があがっていました

「印象的だったのは、次世代につながる農業を考える生産者さんの姿勢。おいしいトマトを届けるために試行錯誤を重ねてくれる生産者さんに感謝です」と、コープ職員の一人。「甘くておいしいトマトを食べて欲しい」という一心で新しい形の栽培に挑むJA豊橋のトマトには、生産者の苦労や工夫、たくさんの想いが詰まっています。このような商品を組合員さんにお届けしていくことで、商品に関わる全ての人の想いをつなげていきたい、というのがコープの目標です。