ヒトとコトと

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鹿児島県大隅産うなぎで、食文化の継承と資源保護活動を。「食べて関心を持ってもらうことで、うなぎを守っていきたい」鹿児島県大隅産うなぎで、食文化の継承と資源保護活動を。「食べて関心を持ってもらうことで、うなぎを守っていきたい」

ふっくらと香ばしいうなぎの蒲焼は、日本の夏には欠かせない風物詩のひとつ。しかし、今、そのうなぎの資源不足が問題となっています。
ニホンウナギは漁獲量が激減し、養殖に必要な稚魚(シラスウナギ)を確保することさえむずかしくなっているのが現状。コープでは、これから先も日本の食文化を守りたいという想いから、「CO・OP鹿児島県大隅産うなぎ蒲焼」を生産している大隅地区養まん漁業協同組合とともに、うなぎの資源管理や保護対策を進めています。

組合員さん1人ひとりの力が
うなぎを守ることにつながっています。

コープデリとは、30年もの長いお付き合いが続く大隅地区養まん漁業協同組合(以下、大隅養まん漁協)。鹿児島県大隅半島の中心に位置し、温暖な気候、うなぎの養殖に欠かせない良質な地下水に恵まれた地域で、うなぎの養殖から加工までを一貫して行っています。

大隅地区養まん漁業協同組合

2014年、コープデリは、大隅養まん漁協、日本生協連と「国産うなぎの安定的な事業継続に関する覚書」を締結。産地を応援する目的で「CO・OP鹿児島県大隅産うなぎ蒲焼」の1パックにつき10円を、大隅養まん漁協が参加している「鹿児島県ウナギ資源増殖対策協議会(※)」へ寄付し、うなぎ資源回復の取り組みに活用しています。

(※)鹿児島県ウナギ資源増殖対策協議会
鹿児島県をはじめ大隅養まん漁協のほか、内水面漁連、養鰻団体、学識経験者などで構成。海で卵からかえった仔魚(レプトセファルス)が、シラスウナギに変態し日本の河川で5〜10年過ごした後、また海に戻って産卵します。協議会では海で産卵するうなぎを増やすための活動を行っています。

毎年、冬から春にかけて日本沿岸に回遊してくるシラスウナギ。今はまだ完全養殖の技術が確立していないため、うなぎの養殖ではシラスウナギを川などから獲って育てています。しかし、近年、シラスウナギの不足が深刻化しているのです。1960年代初めには200トン以上の漁獲量がありましたが、2010年代に入ってからは10トンを下回る不漁の年が続き、2014年にはニホンウナギがIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに「絶滅危惧ⅠB類」として掲載されるなど、資源不足は国際的にも問題となっています。
ニホンウナギが激減した背景には大きく3つの要素が考えられています。ひとつには、乱獲によるもの。そして、うなぎが生息する河川の環境が悪化したこと。もうひとつは、海流の変化なども関係しているのではといわれています。
そのため、大隅養まん漁協は、鹿児島県や研究機関と連携して、資源回復のためのさまざまな取り組みを行っているのです。
うなぎが棲みやすい環境づくりもそのひとつ。コンクリートの護岸工事やダムの建設などで、うなぎが棲める環境がなくなってしまった河川に「石倉かご」と名付けられた人工的なうなぎの棲みかを設けています。石倉かごは、1m四方ほどのポリエステル樹脂製の丈夫なネットの中に、大小さまざまな大きさの石を多数積み上げたもの。川の中に石を積み上げておき、そこに潜りこんだうなぎをとる伝統漁法をヒントに考案されました。

左)石倉かごを川から引き上げて、調査します
右)大小さまざまな大きさの石が入った石倉かごの中

2016年9月、「石倉かごモニタリング調査」に、コープデリや日本生協連の職員も同行。川から石倉かごを引き上げるお手伝いをして、うなぎの生育状況などについて調査の様子を見学しました。この日、引き上げた石倉かごでは、放流した養殖うなぎと天然うなぎが共存している様子が見られ、ほかに川エビやカニ、ハゼなどたくさんの生きものの棲みかになっていることが確認できました。
放流したうなぎや一度モニタリングした天然うなぎには、個体識別タグがつけられています。このタグによって、移動状況や成長状況を把握することができます。うなぎの大きさを測定して、新たなうなぎにタグをつけて、再び川に戻すことで、まだ、解明されていないうなぎの生態を知り、資源回復のためのヒントを探っています。

左)捕獲したうなぎにICチップを埋め込みます。これにより、謎に包まれたうなぎの成長速度など、河川での生息状況の正確な把握を目指しています
右)調査後はすぐに川にリリースします

また、大隅養まん漁協では20年以上前からうなぎを増やすための放流事業も行っています。「シラスウナギが1匹でも多く日本に戻ってくるよう期待を込めて放流しています」と、大隅養まん漁協の楠田茂男代表理事組合長。

大隅地区養まん漁業協同組合 代表理事組合長 楠田茂男さん

河口付近の淡水と海水が融合した汽水域や河川に多く生息しているうなぎ。大隅養まん漁協では、その環境に近い状態で育てた親うなぎの放流に取り組んでいます。これまでは約28℃に温めた地下水で育てた食用うなぎを放流してきました。しかし、より天然に近いうなぎを養殖するために、地下水に海水を混ぜた加温しない養殖池を新設。現在は、塩分濃度1%の汽水で、かつ約20℃と海水に近い低温で放流用に育てた親うなぎを放流しているのです。2016年9月、大隅養まん漁協の「うなぎ放流事業」に同行。志布志湾にある柏原漁協から出発し、肝属川(きもつきがわ)河口付近の汽水域へ親うなぎを放流しました。

汽水養殖場で、約2年をかけて育てた成体の親うなぎなどを河口付近の海に放流しました

うなぎが生息する環境により近い汽水養殖池で育てられたうなぎは、加温した淡水のみで育てられたうなぎよりも、放流後、環境に適応しやすいのでは、と期待されています。

行政も積極的にうなぎの資源保護に取り組んでいます。大隅養まん漁協がある鹿児島県では、産卵で川を下って海に向かう親うなぎを保護する目的で、ニホンウナギの産卵期の捕獲禁止を実施。うなぎの食文化を守るため、2017年度以降も1年ごとに捕獲禁止の延長を検討しています。
こうして、うなぎの資源保護、資源回復に向けてさまざまな取り組みが行われ、うなぎの食文化を守っていこうという動きは、民間と行政の垣根を越えて、地道に進められています。

国立研究開発法人 
水産研究・教育機構 増養殖研究所

2010年に悲願だったうなぎの完全養殖に成功した「国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所」。完全養殖の実現により、天然資源に依存しないうなぎの養殖への道を開きましたが 、量産にはまだ多くの課題が残されています。今後、大量生産が可能となって養殖用のシラスウナギの一部を完全養殖でまかなうことが出来れば、資源保護に役立つことはもちろん、天然シラスウナギの捕獲に依存していた不安定な種苗供給を安定化することができます。増養殖研究所 志布志庁舎の薄(うすき)特任部長は、「着実に進歩していますが、仔魚の時期に何を食べているのかや、成熟の条件が不明などその生態は未だ解明されていません」と話します。

日本沿岸ではまず目にすることができない体長1~6センチのレプトセファルス(仔魚)

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所 特任部長 薄浩則さん

日本沿岸ではまず目にすることができない体長1~6センチのレプトセファルス(仔魚)

国立研究開発法人 水産研究・教育機構 増養殖研究所 特任部長 薄浩則さん

良質な地下水で、
大切に育てられている
大隅産うなぎ。

大隅養まん漁協がある鹿児島県東部の大隅半島は、うなぎが好む温暖な気候に加え、良質な地下水が豊富に湧く地域です。養殖池は山の谷間に作られたビニールハウスの中にあります。

左)台風が多い地域ですが風の影響を受けにくい山間に養殖池の温室ハウスが並びます
右)池の水温は30℃に保たれ、酸素を入れるために水車が回っています

桜島などの火山の噴火でできたシラス台地(火山灰台地)が長い年月をかけて作り出す地下水は弱酸性で、うなぎの病気の原因となる菌の繁殖を抑える効果が期待できます。コンクリートでできた養殖池は水深は1メートル。底には石が敷いてあり、必要に応じて給水する「半流水式」で新鮮な水と入れ替えるしくみになっています。デリケートなうなぎは、水質の変化でエサの食べ具合が大きく違ってくるため、コンピュータと人間の目の両方で、24時間体制の水質管理を行っています。うなぎが元気にエサを食べる水温は、30℃。そのため、養殖池には温水パイプを設置して水温を上げています。
エサは、魚粉を主原料に、酵母やビタミンなどを加えて練った栄養価の高いもの。うなぎの成長に応じて、硬さを調整して与えています。水の汚れを防ぐために、エサの投入は一か所のみ。水車を回して、酸素を供給しています。

エサの主成分は魚粉。早朝5時と夕方4時の1日2回、給餌します

こうして大切に育てられたうなぎは、養殖池ごとに抗生物質の残留検査を行い、安全を確認してから池上げされ、生きたまま大隅養まん漁協の加工場へと運ばれます。

くさみがなくて、ふっくらやわらか、
香ばしく焼き上げた蒲焼。

大隅養まん漁協の加工場に運ばれたうなぎは、桶に入れて積み重ねられ、1日以上エサ断ちをして、流水にさらしてしっかりとくさみを抜きます。開いたうなぎは、身が縮まないように皮目から焼き、続いて身の部分を白焼きにします。その後、蒸しの工程へ。95度以上の蒸気で10分ほど充分に蒸し上げることで、身がふっくらとやわらかくなります。たれを塗って焼くのは、計4回。サラッとしたたれを3回、仕上げにとろみのあるたれをつけて香ばしく焼き上げます。

左)白焼の後、蒸気でしっかり蒸し上げることで身がふっくらとします
右)たれを塗って香ばしく焼き上げます

焼き上がり後は、表面の温度を下げてから真空パックに。マチ付きの容器を使用してふんわりとした身がつぶれないように配慮されています。また、養殖池と加工日が分かるように、すべてのパックに番号を印字。その後、金属探知機とX線で、異物をチェックしてから出荷されます。「うなぎをさばいてから冷凍するまで、加工に要する時間は約1時間半。鮮度を保ったまま組合員さんの食卓にお届けしています」と大隅養まん漁協の奥園さん。
「CO・OP鹿児島県大隅産うなぎ蒲焼」には、養殖から加工までを一貫して行っている大隅養まん漁協だからこそのこだわりが詰まっています。

お召し上がりの際は、電子レンジでも解凍できますが、湯せんで温めるのがおすすめです。冷凍パックのまま沸騰したお湯に入れ、約8分加熱。水分が保たれてふっくら仕上がります。さらにオーブントースターやグリルなどで表面を炙ると、香ばしさがアップ。ぜひ、ひと手間加えて、おいしくお召し上がりください。

大隅養まん漁協では、うなぎの養殖から加工までを一貫して行っています。「うなぎが苦手」という一番の理由が「泥臭さ」だと思うのですが、わたしたちは、独自の厳しい基準のもと残留薬や泥臭のチェックをして、徹底的に品質にこだわったうなぎをお届けしています。一生懸命に育てたうなぎを、丹精込めて焼き上げました。ぜひ「CO・OP鹿児島県大隅産うなぎ蒲焼」を選んでください。

大隅地区養まん漁業協同組合
販売部 課長 奥園久人さん