ヒトとコトと

商品に携わる人と想い、伝えます。

国産の飼料米を食べて育った「産直お米育ち牛」お米で育てて、産地を守る。私も食べて応援したいな。国産の飼料米を食べて育った「産直お米育ち牛」お米で育てて、産地を守る。私も食べて応援したいな。

コープデリでは、豚や鶏、牛の飼料にお米を利用することで田んぼを守り、米生産者や産地を応援する取り組みを進めています。輸入に頼る飼料を国産のお米にかえることで、日本の食料自給力の向上にもつながる「お米育ち」の取り組みは、組合員さんに支持され、年を追うごとに広がりを見せています。
2015年からは、千葉県でも「産直お米育ち牛」の生産が開始されました。コープデリ宅配エリアでもある千葉県で「産直お米育ち牛」の生産を手がける人々の熱い想いをお伝えします。

どうして、
お米を飼料にしたんだろう?

かつて肉牛の生産が盛んだった千葉県ですが、現在では生産者が減っています。肉牛のエサとなる穀物・デントコーン(大型のトウモロコシ)を地元で栽培できる北海道などと比べ、輸入穀物に頼らざるを得ない千葉県では、エサにかかるコストが大きいことがその理由の一つです。「将来もずっと肉牛の生産を続けていくために、輸入飼料への依存を減らす方法が何かないだろうか」。そんな想いが千葉県の肉牛生産者たちの中にありました。

千葉県八千代市に本部を置く酪農の専門農協・千葉北部酪農農業協同組合(以下、北酪)では、これまで指定配合飼料として、加盟している畜産農家すべてが同じ飼料を購入・使用してきました。そういった慣習の中、千葉県の畜産の未来を考えたときに、飼料に特徴のあるものを使うことで肉牛の価値を高めることができないかという想いから、国産の飼料米をエサに配合してみてはどうかとの案が生まれました。

北酪の常任理事、牛肉事業部・部長の小野功さんはお米を配合する利点をこう話します。「まず一つには、代用が可能だったこと。トウモロコシとお米の成分が似ていたんです。また、日本の食料自給率計算では、輸入飼料を使って生産された畜産物は育成が国産であっても食料自給率にカウントされませんが、国産のお米を配合したエサで育てることによって食料自給率の向上に貢献できるし、配合が粗雑でカロリーがばらついてしまうことが多い海外の飼料よりも国内で育てられた飼料を与えたいという生産者たちの想いもありました。それに加えて、耕畜連携することで有機資源の循環が行えることも大きな理由の一つでした。牛がお米を食べて糞をし、それが良質な堆肥となってお米農家さんに活用され、できたお米が畜産農家さんで再び飼料として牛たちに与えられる。そういう耕種サイドと畜産サイドの連携を図ることによる農業の循環に挑戦しようと、方針が固まったんです」。

「次の若い世代で『産直お米育ち牛』の取り組みがもっと浸透してほしい」と語る、千葉北部酪農農業協同組合 常任理事 牛肉事業部 部長 小野功さん

実際の話し合いにおいては、お米を食べさせることで牛の健康に悪い影響がないかどうか吟味するため、畜産農家だけでなく、飼料販売店の方にも生産者の集まる部会や勉強会に参加していただきながら検討を重ねて決めました。実際にお米を配合した飼料を牛たちに与え始めたのが2015年、北酪に加盟している畜産農家すべてが参加したのが2016年のことです。こうして、国産の飼料米を配合したエサを与えて育てる「お米育ち」の取り組みが始まりました。

お肉の味が変わったことを実感

肉牛の生産は、子牛を買い付けるところから始まります。生まれてから一定期間育成された子牛を肥育農家が購入し、出荷までの1年2~3カ月の間、育てるのです。北酪に加盟している肥育農家であり、「産直お米育ち牛」を生産する農場の一つ、千葉県印旛郡酒々井町にある木我(きが)牧場では、2016年から飼料米を配合したエサを使い始めました。

木我牧場の2代目社長・木我整一さんは語ります。「牛を育てるのは大変なこと。動物は調子が悪くても口をきくことができないので、毎朝はもちろんのこと、常に牛たちの様子をちゃんと観察しなくてはなりません」。
次世代を担う息子の勇一さんは、小学校の頃からエサやりなどの手伝いをしていました。しかし牛の体調が分かるようになったのは実際に働き始めて父に教わってからのことだと言います。「親父は牛の様子を一日に何度も見ます。これほどまめに観察していたのかとあらためて思い知りました。また、エサやりのとき、うちは自動給餌器を使いません。手押しの一輪車でエサを運び、一頭ずつ手作業で与えているから、牛の様子をしっかり見ることができ、体調がよく分かるんです」。

写真右から 木我牧場の2代目社長・木我整一さん、息子の勇一さん。「将来、3代目社長になる」と、勇一さんは小学校の卒業文集にも書いていました

細やかに牛たちを観察する毎日の中で、木我さん親子は気づきました。「飼料米を実際に始めて見ると、以前与えていたエサよりも牛は健康になっています。うちの牛には合っていたんだと思います」と、整一さん。飼料にお米を配合することを父から聞いた時、勇一さんは、どうなるのか想像がつかなかったと言います。「炭水化物だから牛の体に悪い影響はないにしても、痩せてしまうのでは、とか、糞が過剰にやわらかくなったりするのでは、という人もいたので、正直不安がありましたが、今では心配する必要はなかったのだと分かりました。お米を飼料に配合し始めてから、牛の体重の増え方がよくなったように感じます。一番変わったのは、以前は形にならずにやわらかいことが多かった糞が、現在はしっかり消化できた適度な形と固さになっていることです」と勇一さんは話します。

飼料米配合のエサには、カロリーの安定した国産飼料を与えたいという生産者の想いも詰まっています

牛を育てる上では、牛舎の地面を清潔にすることを心がけているという整一さん。これは、牛たちの健康を守るのはもちろんのこと、牛が汚した地面からすぐに堆肥を回収し、農家へ供給することへとつながっています。その堆肥を使って栽培されたお米の飼料米を牛たちが食べて育ち、また堆肥ができるという農業の循環も大切にしているのです。

「消費者の方に“このお肉はおいしい”と言われるのが一番うれしい。お肉がおいしくなったのは、エサを飼料米に変えたことが理由だと思います。そういう手応えは作っている私たちにも当然あるし、自分で実際に食べてみてもおいしいと感じるので自信はあります」
現在、北部酪農農業協同組合に加盟している肉牛生産者たちは、「産直お米育ち牛」を大切に一生懸命育てています。そこにあるのは、品質の保たれた不安のないおいしいお肉をこれからも消費者の方々へお届けしたいという想い。

次世代を担う息子の勇一さんはこう語ります。「この土地でこの仕事を今後も続けていきたいし、父親の代で終わらせることはしたくない。今、子牛の価格が高騰していて、全盛期には370頭近くいた牛が、現在では100頭ほど減ってしまいました。父から跡を継いだら全盛期以上に頑張って、500頭くらいまで頭数を増やすことが夢です。まずは地に足をつけて、今の環境を守っていくこと。そしてずっとこの場所から、組合員さんに喜んでいただける牛肉をお届けしていきたいです」。

手押しの一輪車でエサを運び、牛の様子を1頭ずつ丁寧に観察する勇一さん。跡を継いだら全盛期以上の頭数を育てることが夢です

全飼育期間約20カ月のうち出荷前の6カ月間、国産の飼料米を10%配合したエサを食べて育った「産直お米育ち牛」。おいしい牛肉を生産することはもちろん、国産の飼料米を利用することで日本の食料自給力向上に貢献することも目指しています。千葉県産の「産直お米育ち牛」をコープデリ宅配では、鮮度をキープする「冷蔵フレッシュパック」でお届けいたします。