ヒトとコトと

商品に携わる人と想い、伝えます。

北海道の生産者さんが大切に育てた牛。おいしいだけじゃないんだね。味も、育て方も、お気に入り。北海道の生産者さんが大切に育てた牛。おいしいだけじゃないんだね。味も、育て方も、お気に入り。

「自分や家族、環境、地球にやさしいものを選びたい」という組合員さんの声に応えて、コープデリでは、なるべくシンプルな素材で作る加工品の開発や飼料にこだわった畜産物などの供給に積極的に取り組んでいます。
今回ご紹介する牛肉もそのひとつ。「どんな飼料を食べて、どんな環境で育ったのか知りたい」「なるべく薬を使わずに育てたものを食べたい」という組合員さんの声に応えてお届けを始めた商品です。
その牛肉の背景には、牛を、環境を、食べる人を想う生産者さんの姿がありました。

「なるべく“自然のまま”に
育った牛がいいな」

多くの肉牛生産の現場では、牛を牛舎で飼い、輸入穀物をベースとして、ビタミン、アミノ酸などの栄養素を混ぜ合わせた配合飼料を与えて育てています。そのわけは、家畜の健康管理が簡単な上に、効率よく肥育できることにあります。
しかし、こうして育てられた家畜の肉が増える一方で「どんな飼料を食べているのか気になる」「なるべく薬を使わずに育ったものがいいな」という声も多く聞かれるようになりました。また、飼料に輸入穀物を使用すると、穀物が輸入できなくなってしまった時に飼料不足が起きてしまう点も心配されています。
コープデリ宅配がお届けする「榛澤(はんざわ)さんが育てたアンガス牛」と「上田さんが育てた短角牛」は、牛にとってストレスの少ない放牧中心の環境下で、薬剤はなるべく使用せず、可能な限り国産の飼料を与えて育てた牛です。

榛澤(はんざわ)牧場の
榛澤さんが育てたアンガス牛

北海道釧路市にある榛澤牧場。代表の榛澤保彦さんはもともと電気店に勤めていましたが、40歳の頃に奥様の実家の牧場の手伝いを始めたことをきっかけに肉牛生産に携わるようになりました。牛の飼育について知っていくうちに、牛に薬を打つことや、農薬、化学肥料を使用した飼料を用いることに疑問を覚えるようになり、農薬や化学肥料を使用していない飼料での飼育に取り組み始めました。

右)榛澤牧場代表 榛澤保彦さん、左)榛澤孝さん
「やっぱり生き物はいいね。なつくと嬉しいし、やりがいがある」と保彦さん。

「家畜に人間が食べないものを餌として与えて人間の食料とする。畜産の原点を貫きたい」と語る保彦さんが選んだのは、放牧飼養と人間の食べ物の余りのじゃがいもかすやビールかす、でんぷんかすなどからなる国産の副産物利用飼料を用いた飼育方法と、その育て方にぴったりのアンガス牛でした。

じゃがいもかすを食べて顔を白くするアンガス牛。

放牧されている約100頭の母牛は、自然交配で子牛を産みます。一般的に、母牛の次の出産までの期間が短くなるよう、初乳を与えた後の子牛は、母牛と離して代替乳で育てることが多いですが、榛澤牧場では生後半年まで母牛と一緒に放牧します。抗体を多く含む母乳を長い期間飲んだ牛は元気に育つため、全飼育期間で、飼料の中に抗生物質を一度も入れていません。※
その後、牛たちは牧草と副産物利用飼料を食べて大きくなります。配合飼料で育つ牛に比べて長い飼育期間を要しますが、その時間がおいしい肉の味を育てるそうで「うちの牛は、余分な脂身が少なく、肉本来のうまみが味わえる」と孝さん。
※病気になったときは抗生物質を与える場合があります

左)放牧地で母牛のお乳を飲む子牛。
右)気性の荒いアンガス牛ですが、生まれた時から保彦さんに撫でて育てられた榛澤牧場のアンガス牛は、人懐っこい性格をしています。

また、保彦さんは「今は、市場では未経産牛(出産を経験していない雌牛)が好まれる傾向があるけど、経産牛(出産を経験した牛)もちゃんとおいしい。母牛は産めなくなったら廃棄するのではなく、そのあともちゃんと肉牛として出荷して、無駄がないようになればいいな」と話します。さらに「将来的には有機栽培の飼料を与えて有機JAS認定をもらって、もっとみなさんに喜んでもらえる牛肉を出荷したい」と今後の目標を語りました。

北十勝ファームの
上田さんが育てた短角牛

北海道足寄(あしょろ)町にある北十勝ファームは、明治中期に十勝に入植して以降、約100年続く牧場です。もともとは馬を飼育する牧場でしたが、先代の頃から牛の飼育を始めました。「育てるなら自分の手で育てるべきだ」と考える先代の元で、独学で牛を育て始めたという社長の上田金穂さん。「専門書を読むにも、まず用語がわからない。用語を調べながら本を読み、人に聞き、とにかくいろいろ試してみました」と、当時の苦労を語ります。そうした経験があったからこそ今では、「雄大な自然の優しさと厳しさ、人間の英知と努力、その調和の中にこそ本物の食、本物のおいしさがある」と考え、長年の経験と日々の研究を元に、食べてくれる人がとたんに笑顔になる牛肉を目指しています。

左)北十勝ファームのみなさん
右)北十勝ファーム代表取締役 上田金穂(かねほ)さん

北十勝ファームの短角牛は、自然の恵みを目一杯受けて育っているのが特徴。生まれてから約半年の間は主に母乳を飲み、その後は海の近くの広大な放牧地で放牧され、潮風に当たったミネラルを含んだ牧草を食べて育ちます。また、牧場では裏手の天然林の中で湧き出ている水を引き込み、牛たちには、その湧き水を飲ませています。

放牧と言ってもほったらかしではありません。音別(おんべつ)放牧地では、担当スタッフの中村梢乃さんが2日に一度、牛の健康状態を一頭ずつ丁寧にチェックしています。220頭すべてを確認するには、約半日かかるそうです。

牧草の他にも飼料は与えていますが、より信頼できる飼料を牛たちに与えたいと考える上田さんは、原料の多くは国産にこだわり、十勝産のデントコーンや小麦、ビートの搾りかすなどを自社でブレンド。飼料の国産自給率は95%に達しています。配合は、日々の牛の健康状態に合わせて調整したり、定期的に自社で生産した牛肉をスタッフ全員で実際に味わって、飼料に改良を加えています。
また、牧場で作られる堆肥は、発酵させて牛舎に敷く敷料として利用するほか、近所の畑作農家で使用してもらい、そこで育つデントコーンを牛の飼料とするなど、資源循環型畜産にも積極的に取り組んでいます。

「なるべく自然のまま健康に育つように飼育している北十勝ファームの牛は、人に注射をされるなどの痛い思いをすることが少ないため、人が好きな子が多いですね」と話すスタッフさん

上田さんは「経産牛もおいしい。うちのお肉を買ってくれるレストランでは経産牛の方がおいしかった、なんて言ってもらうことだってあるんです。科学的に証明できれば、みなさんに納得してもらえると思うので、地元の大学院生に協力してもらって論文を作ったりもしています」と話し、無駄のない畜産を目指しています。

お肉と一緒にお手紙をお届けします

榛澤さん、上田さんの牛肉は、ストレスが少ない自然な環境で自由に育つ時間が多いので牛によって個体差が生まれます。そのため、同じ生産者さんがお届けする牛肉でも、牛によって異なる味わいをお楽しみいただけるのも、特徴の一つです。
また、ご注文いただいた際は、商品と一緒に、産地の様子や生産者さんの想いを綴った「産地便り」をお届けします。ぜひ、産地や生産者さんに想いを馳せながら、味わってみてください。

商品と一緒にお手紙をお届けします。

※牛にも人間にもストレスの少ない環境下での飼育を目指しているため、肥育や飼育頭数には限度があります。つきましては、一度に大量の原料を確保することは難しく、ご案内の際は数量に制限を設けさせていただく場合がございます。