おいしいお肉を食べてほしくて心を込めて加工しています

「産直お米育ち豚」の加工を
手掛ける茨城ミートセンター

お肉がわたしたちの食卓に届くまでには、たくさんの人々が関わっています。「産直お米育ち豚」にも、飼料用米を作る人、豚を育てる人、商品に加工する人、組合員さんの食卓に届ける人など、様々な立場の人がいます。今回はその中で「商品に加工する人」にスポットを当て、株式会社コープデリフーズのセンターのひとつ「茨城ミートセンター」についてご紹介します。

正確さもスピードも求められるプロフェッショナルな現場

茨城県茨城町にある「茨城ミートセンター」では、コープデリで供給する豚肉の約7割を加工しています。生産者から始まり組合員にわたるまでのつながりを「フードチェーン」といいますが、さまざまな立場の人たちがプロ意識を持って「フードチェーン」を支えています。その中でも「茨城ミートセンター」が手がける食肉加工の工程は、普段はなかなか表には見えない部分ですが、「お米育ち豚」を商品として組合員さんのもとにお届けするためには非常に重要です。
使いやすく、料理しやすいようにパックされた状態でわたしたちのもとに届く「産直お米育ち豚」。茨城ミートセンターのみなさんの小さな工夫の積み重ねと確かな技術力が、お米育ち豚をおいしいお肉にしています。

畜産(豚)の部分肉加工を手がける「茨城ミートセンター」

畜産(豚)の部分肉加工を手がける「茨城ミートセンター」

「肉は、魚や野菜とは違ってそのまま売り場に出すことはできません。食卓に上がるまでの間にどれだけの人が関わっているかということに思いを馳せていただければ、と思います」と話すのは、茨城ミートセンターの山田剛さんです。

店舗の畜産担当から商品部を経て、それ以来ずっと肉一筋のベテラン、茨城ミートセンターの山田剛さん

店舗の畜産担当から商品部を経て、それ以来ずっと肉一筋のベテラン、茨城ミートセンターの山田剛さん

「茨城ミートセンター」は、と畜などを手がけている「茨城県中央食肉公社」に併設されています。コープデリ連合会指定産地の生産者の豚は「茨城県中央食肉公社」で枝肉(皮や内臓などを取り除き、背骨から2分割にした状態)にされ、枝肉冷却庫で2℃以下に冷却された後、専用の通路で「茨城ミートセンター」の枝肉保管庫へと運ばれます。
「茨城県中央食肉公社とは同じ建物内にあるので、枝肉は1度も外にでることなく運ばれてきます。温度管理・鮮度管理がしやすいという利点があります」と山田さん。

豚のと畜・解体処理をお願いしている「茨城県中央食肉公社」とは、毎月2回ほど協議会を開き意見交換。その結果、枝肉の品質がどんどん向上しています

豚のと畜・解体処理をお願いしている「茨城県中央食肉公社」とは、毎月2回ほど協議会を開き意見交換。
その結果、枝肉の品質がどんどん向上しています

冷却された状態の枝肉は、約2℃の温度に保たれた保管庫で、検印の除去や汚れや異物などがないかを目視で点検した後、大分割の作業へと進みます。

次々と枝肉が運び込まれる大分割室。スピードはもちろん、正確性や安全面など神経を使う仕事です

次々と枝肉が運び込まれる大分割室。スピードはもちろん、正確性や安全面など神経を使う仕事です

枝肉から骨を取り除きやすくするために、モモ、ロース・バラ、カタに3分割します。次々に運ばれてくる枝肉をまな板にのせ、ナイフを使って手際よく大分割していく様子は迫力満点。怪我がないように鎖のエプロンをつけて作業しています。
「ここは若手が最初に配属される工程です。体力を使うし、ここで基本的な分割を覚えてもらいます」と山田さん。この加工場では、1日に約430頭もの枝肉の加工を手掛けています。1時間あたり約40〜45頭を捌いていくため、スピードも求められるのです。

大分割した豚肉はベルトコンベアにのせられ、次工程の「除骨」へと進みます。各部位ごとに骨を外していくこの作業は、残骨がないように細心の注意と集中力が必要。「骨に肉を残しすぎてもダメですし、肉をすべて取ろうとして骨を削るようにすると骨が割れたりして残骨の原因になる。この作業には熟練の技が必要で一人前になるには5年以上かかります」。

骨が残らないよう細心の注意を払って作業しています

骨が残らないよう細心の注意を払って作業しています

見事なナイフ捌きでスピーディーに骨を取り除いていく作業に無駄な動きは一切ありません。何よりも驚きなのは、すべての作業がほぼ手作業で行われていること。裏を返せば、機械ではできない繊細な作業であるということです。

衛生的な環境を保ち、作業効率を上げる管理体制

骨を取り除いた豚肉は再びベルトコンベアに戻され、部位ごとに分割し、余分な脂肪やスジ、端肉などを取り除く分割・整形の作業へと進みます。

(左)端肉など取り除いた部位も加工品の原料や飼料へと加工され、利用されます(右)指定のスペックに合わせてそれぞれの部位を整形していきます

(左)端肉など取り除いた部位も加工品の原料や飼料へと加工され、利用されます
(右)指定のスペックに合わせてそれぞれの部位を整形していきます

「茨城ミートセンター」では、取り除いた骨や脂肪などもきちんと仕分けして、業者に引き取ってもらい、たとえば骨は大手食品メーカーでスープの原料に使用するなど、一切無駄を出さない取り組みも徹底しています。

また衛生管理も徹底していて、まな板は1時間使用したら裏返し、トータルで2時間使用したら交換。まな板ラックに収納し、器具備品洗浄室へ運搬して洗浄しています。作業台やコンベアなどは、午前、昼、午後、それぞれの休憩前に手順に沿って中間洗浄も実施。「ほかの食肉加工場でここまでやっているところはないと思います」と山田さん。約2時間ごとに休憩時間を設けているのも作業する従業員が効率的に仕事に取り組めるように、という配慮です。

使用したまな板やナイフなどは器具備品洗浄室へ運び、洗浄。作業台もカウンタークロスで汚れを拭き取り、アルコール消毒をするなど清潔な作業環境が保たれています

使用したまな板やナイフなどは器具備品洗浄室へ運び、洗浄。作業台もカウンタークロスで汚れを拭き取り、アルコール消毒をするなど清潔な作業環境が保たれています

部位ごとに分けられた豚肉は、検品の工程へ。ここでは、異物(骨や獣毛など)がないか、目視と触手による確認を行い、さらに規格通りになっているかどうかも点検します。

担当者がひとつひとつ丁寧に目視と触手で確認していきます

担当者がひとつひとつ丁寧に目視と触手で確認していきます

「実は以前は、納品先で残骨などが見つかる件数が多かったのですが、今はかなり減少しました。検品を徹底するということはもちろんですが、検品担当者だけではなく、従業員それぞれが自分の役割のところで意識を持って取り組むようになったというのが大きいと思います」と山田さん。
従業員全員が担当以外の仕事も理解することで残骨の件数が驚異的に減少したのです。そこにはこんな働きかけがありました。
「学習会を開催しました。検品担当者に分割や除骨の作業を見てもらい、どこにどんなふうに骨がついているか、こういうふうに骨を外すからこの箇所に折れた骨が残る可能性があるということを知ってもらいました。さらに除骨作業をしている従業員にも骨が折れないように気をつけること、整形担当者も残骨がないかをチェックすることなど、全員が次の工程のことを考えて仕事をしようというのを働きかけてきた結果だと思います」。

検品された豚肉は、より衛生的に流通させることを目的に真空包装され、計量をした後、保管・出荷されます。「産直お米育ち豚」として、品名・原産地・重量・賞味期限・保管温度などがラベルに記載され、冷凍用は当日の午後に、冷蔵用は翌日の午前に出荷。コールドチェーンを徹底して鮮度維持を図り、桶川生鮮センターへと運ばれた「産直お米育ち豚」は、商品となって組合員さんのもとへと届けられます。

徹底した温度管理のもと、販売向けのお肉の加工やトレーへの盛り付けなどを行う「桶川生鮮センター」へと運ばれます

徹底した温度管理のもと、販売向けのお肉の加工やトレーへの盛り付けなどを行う「桶川生鮮センター」へと運ばれます

おいしく食べることで、みんなの想いがつながります

「実は、お米育ち豚の中ではダントツで小間切が人気なんですよ」と山田さん。通常の小間切肉は、端肉を寄せ集めたものですが、「お米育ち豚小間切」は、その端肉だけでは追いつかず、あえてカタ肉やモモ肉などの部位を小間切用に加工しています。それが「おいしい」という評価につながる、人気の秘密かもしれません。

お米育ち豚小間切

「産直お米育ち豚」は、コープデリの産直商品です。コープの産直は、生産者・生協・組合員がつながり、安全性が確保され、おいしさと環境配慮を兼ね備えた、生い立ちがはっきりわかる畜産物をお届けする取り組み。「産直お米育ち豚」を組合員さんにお届けするために様々な人たちが関わっています。今回はその中で「肉を加工する人」の仕事をレポートしました。

「豚肉をおいしく食べてほしい、という一心で心を込めて加工しています。生産者をはじめ、いろんな人たちの手を経てお肉の商品ができあがっているので、命をいただいていることに感謝しておいしく食べてほしいと思います」と山田さん。組合員さんからの「おいしい」という声が力になっています。

株式会社コープデリフーズのみなさん。茨城ミートセンターは令和6年、衛生保持の功績により茨城県より表彰されました

株式会社コープデリフーズのみなさん。茨城ミートセンターは令和6年、衛生保持の功績により茨城県より表彰されました

組合員さんからの応援メッセージ

【お米育ち豚ロースうすぎり】
やわらかくおいしい肉です。豚肉料理が食べたい時は注文します。「お米育ち豚」シリーズはどれもおいしいです。
組合員さんの声1
【お米育ち豚小間切】
お米育ち豚いいですねぇ。これを食べたら、他の豚肉が食べられなくなりそうです。それくらいおいしかったです。
組合員さんの声2
公開2024年3月