大切にしたいな、お米を食べる文化。ずっと残したいな、稲穂のある風景

私たちの未来の食に元気をつなぐ
「飼料用米」の活用

コープデリには、「産直お米育ち豚」や「CO・OP産直稲穂のみのりたまご」など、「飼料用米」の活用から生まれた商品があります。
田んぼから日本を元気にしたい!というコープデリの想いに、生産者や流通業者などたくさんの人たちが賛同し、組合員さんの食卓までお届けしています。

田んぼを守りたい、という想い

日本人の食生活が多様化した今、昔に比べるとお米の消費量はぐんと減ってしまいました。それに伴い、稲作から畑作へと転作したり、稲作が行われない休耕田が増えたりしています。しかし、一度でも、お米づくりを止めてしまうと、再び田んぼとしてよみがえることは簡単ではありません。田んぼの登録や地質の復旧など、さまざまな壁が立ちはだかります。さらに、日本の原風景ともいえる田んぼのある景観や、水辺ならではの豊かな生態系も失われつつあるのが悲しい現状です。

そこで、コープデリは飼料用米の取り組みを2008年から始めました。
お米づくりを続けたい生産者さんのお米を飼料用米にすることで、田んぼを守ることができるのではないだろうか。田んぼを守ることで、日本の食料を自給する力の向上につなげられるのではないだろうか。
そんな想いを共有する生産者や流通業者とともに飼料用米の活用を広げてきました。そして、その想いに共感する組合員さんによって、飼料用米を活用した商品が支持されています。

食料自給力の向上について、
考えています

日本の食料自給率はカロリーベースで4割。つまり、食料の半分以上を海外からの輸入に依存しています。「食料自給率」とは、国内消費量に対する国内生産量の割合のこと。

4割という数字はほかの先進国と比較してもかなり低い水準です。そんな中、お米の消費量は年々減少。1962年に国民一人あたり年間約118kgだったお米の消費量は、2020年では50.7kgと半分以下になっています。

1人当たりのお米の年間消費量

1962年と2020年の食料自給率比較 出典:令和2年度食料需給表 農林水産省

出典:令和2年度食料需給表 農林水産省

食料の確保を海外に頼っているのはとても不安定な状況だといえます。

もし、生産国で異常気象や災害が発生し作物がつくれなくなったら、価格は高騰し、日本への輸出が制限されるかもしれません。理想的なのは、国内で安定的に食料を確保できること。つまり、「日本の農林水産業が最大でどのくらい食べものを生産する力を持っているか」を表す、食料自給力の向上です。

しかし、日本ではお米の消費量が減り、生産者もこの50年ほどで半分以下に減少しています。さらに、生産者の高齢化も深刻で、このままではお米づくりの後継者が不足し、稲作の技術が受け継がれないという事態にもなりかねません。

そこで、考えられたのが飼料用米の栽培です。お米は、毎年同じ場所でつくり続けても連作障害(※)が起きず、ほかの作物に比べて安定した収穫量が期待できます。

(※)毎年、同じ土地に同じ野菜を栽培することを連作と呼びます。連作によって、その野菜を冒す病原菌が増えたり、土壌の養分が不足し野菜の生育が悪くなったりしてしまうことを連作障害といいます。

「産直お米育ち豚」の生産者 有限会社ありす畜産の水野雄幸さん

「産直お米育ち豚」の生産者 有限会社ありす畜産の水野雄幸さん

主食としての消費量が落ちているならば、豚や鶏の飼料にお米を活用することで、田んぼを守ることができるはず。輸入に頼っていた飼料を国産のお米に変えることで、畜産から日本の食料自給力を向上させることに貢献することはできないだろうか。こうして、飼料用米活用の取り組みが始まりました。

今までと違う視点から
つくられるお米「飼料用米」

飼料用米とは、主食用米と異なり家畜のエサ用につくられるお米のこと。 なぜ、飼料用米をつくることで、食料自給力を向上させられるのでしょうか。

実は、カロリーベースで食料自給率を算出する場合、輸入飼料を食べて飼育されたお肉は、国産であっても自給率に換算されないのです。現在、国内で流通している豚肉の約54%は国産豚肉として販売されています。しかし、そのうちの約9割は輸入飼料により育てられているため自給率に換算されていません。ここで使用されている輸入飼料を国産の飼料用米にすることができれば、豚肉の自給率は50%以上になります。しかし、コスト面ではどうしても輸入飼料のほうが安く、最終的な豚肉の価格にも差が出てしまいます。それでも、連作障害がなく安定した収量が見込める飼料用米をつくることは、田んぼの有効活用や保全など、とても大きな意味のあること。また、主食として食べられるだけではなかなか増えないお米の消費量を増やし、食料自給力を向上させることにも貢献できるひとつの方法なのです。

稲作の技術は同じですが、コープデリでは主食用米と異なる田んぼを使ったり、田植えや収穫の時期をあえてずらしたり、両者が混じらないように農業機械を清掃したりと、気を配りながら生産してもらっています。また、運搬・保管に関しても主食用米とはまったく異なった流通をお願いしています。

願いはひとつ。
日本の食と農業を元気に

願いはひとつ。日本の食と農業を元気に

※写真はイメージです。

飼料用米を取り入れた養豚業者は「周りで減少していく田んぼを見ていて、畜産業としてなんとか協力したいと模索していました」と話します。お米の生産者は「将来に向けて農業が継続できる環境をつくりたい」と飼料用米の栽培に取り組んでいます。飼料を供給する業者は「専用のサイロを確保するなど、やれることをやろうという姿勢で取り組んでいます」と意気込みを見せます。

そしてその想いに共感する組合員さんが、飼料用米で育てられた畜産品をおいしく食べてくれることで、日本の田んぼを元気にしているのです。

生産、流通、販売、消費者みんなの「日本の食の未来を明るくしたい」という同じ想いによって、飼料用米の取り組みは支えられ、広がっています。

住み続けられるまちづくりを つくる責任、つかう責任 陸の豊かさも守ろう

コープデリグループは商品の利用を通じて、持続可能な社会の実現を目指しています。

「お米育ち豚プロジェクト」はこちらから