ヒトとコトと

商品に携わる人と想い、伝えます。

北海道の味覚 天然秋鮭を使用した「北海道さけスモークサーモン」鮭が違うと、味がここまで変わるのね。

とっても身近なものなのに、食べ方はいつも同じ。そんな食材ってありますよね。そのひとつが、天然の秋鮭です。北海道だけでも毎年10万トン以上水揚げされる秋鮭は、ほとんどが塩鮭に加工されてしまう食材でした。せっかく天然物がたくさん獲れるのだから、塩鮭以外の食べ方で組合員さんにお届けしたいと考え開発されたのが「北海道さけスモークサーモン」です。普段の食卓で使いやすいように、価格もお手頃です。天然秋鮭のスモークサーモンは、ほかではめったに見られない商品。それだけに、製造にはいくつかの壁がありました。それでも、「北海道の天然素材を活用した商品をお届けしたい」というコープデリの想いに共感する水産加工業者との出会いで、北海道産秋鮭のスモークサーモンが誕生しました。

天然秋鮭の生食用加工は、
大きな挑戦でした。

北海道の秋鮭は、サバやサンマに次ぐ国内漁獲量を誇っていますが、そのほとんどは塩鮭か鮭フレークに加工され、一部が鍋料理などに活用されるだけでした。開発当時、漁獲量が多かったこともあり、せっかく天然の素材なのだからもっといろいろな食べ方を組合員さんに提案できないものか。そこで、輸入に頼りがちなスモークサーモンに加工してはどうかと考えたコープデリは、銚子に本社を置く水産加工会社の松岡水産株式会社(以下、松岡水産)に相談しました。かねてから、食料自給率の向上に貢献しようと商品開発を行っている松岡水産は、この提案に賛同。そこからコープデリと松岡水産との挑戦が始まりました。

商品開発に携わった、松岡水産の鴨作宏幸さん

「生で食べることのない秋鮭を生食のスモークサーモンにするのは、大変なことでした」と話すのは、商品開発に携わった松岡水産の鴨作宏幸さん。刺身やスモークサーモンなどの生食用には、輸入や養殖のサーモンを使用するのが一般的です。天然の秋鮭を生食用の商品にするにはどうしても難しい問題がありました。それは、寄生虫の問題です。「天然の鮭が食べるエサには寄生虫が含まれているため、鮭のお腹には必ず寄生虫がいます。養殖ならば、エサをコントロールできるので寄生虫の心配がありません。でも、今回は天然の北海道産秋鮭を活用することが命題でしたから、寄生虫への対策を万全にすることが一番の課題でした」と鴨作さん。そこで、秋鮭の産地となるオホーツクで、寄生虫対策はもちろん、おいしいスモークサーモンへの一次加工を任せられるパートナーを探し、連携を取りました。

品質も価格も安定して
お届けするために。

秋鮭は北海道のほぼ全域で漁獲されていますが、北海道さけスモークサーモンの原材料は、すべてオホーツク海で8月下旬から9月下旬にかけて水揚げされた秋鮭です。「もっとも安定した秋鮭の漁場がオホーツク海でした。年によって獲れたり獲れなかったりすると品質も価格も安定しません。普段の食卓で気軽に食べてほしいというのが願いでしたから、安定した漁場を選びました」。秋鮭の水揚げからスモークサーモンに加工する前段階まで、オホーツクに面した紋別市にある株式会社マルトク阿部水産(以下、阿部水産)が担当しています。

「阿部水産は、港で目利きして秋鮭を買い付け、温度管理を徹底しながら専用の加工場で丁寧に身を下ろしています」と鴨作さんは絶対の信頼をおきます。秋鮭はオホーツク海の定置網から船に上がった瞬間に大量の氷に漬けられ、魚体温度を0度前後に維持。港で鮮度のよいものだけを買い付け、加工場まで約10分で搬入すると、すぐに鮭の頭を切り落とし、内臓の除去と洗浄が行われます。ここまで、鮭の温度は0〜2度を維持。水揚げから加工まで、温度管理を徹底しています。「大切なのは、迅速に内臓を取り除くことなんです。通常、寄生虫は鮭の内臓の中にいて、温度が上がると内臓から抜け出し身の奥に入り込んでしまいます。低温管理しながら、素早く内臓を取り除くことで鮭の体から寄生虫を除去することができるのです」。
こうして、寄生虫を内臓ごと取り除いて洗浄が完了。一般的な魚の下処理はこれで十分とされていますが、阿部水産ではここから手作業で腹腔内を洗浄します。この工程では人の目と手で確認しながら、腹腔内に残った血液などをすべて除去。この後、専用の機械にかけてウロコを取り除きます。
「天然の魚はウロコとウロコの間に雑菌が入っていることがあります。生食用にするなら衛生面も徹底しなくてはなりません」。さらに、三枚おろしや小骨を抜く作業も人の手で。最後に加工日の表示を行い、マイナス40度で一晩冷凍し、スモークサーモンの加工を行う銚子の松岡水産へと輸送されます。

秋鮭のうまみ、じんわり。

オホーツクで丁寧に一次加工された秋鮭は、マイナス40度に冷凍されて銚子の工場へ。燻製や切り身など、魚の加工に長い歴史を持つ松岡水産でスモークサーモンへと加工されます。
ここでも、北海道産の天然秋鮭ならではの手法が使われています。一般的なスモークサーモンに使用する鮭は脂分が全体の12〜13%。これに対して、白鮭に分類される北海道産の秋鮭は脂分が全体の3〜4%ととても低いため、うまみを感じにくいという課題も。そこで、松岡水産ではスモークサーモンに加工する際、「冷燻(れいくん)方式」を採用。通常は30度以上で燻すところを21度と低温で時間をかけてゆっくり燻します。「もともとやわらかい天然の秋鮭ですから、急激に温度を上げると身が崩れる心配があります。低温でゆっくりと時間をかけながら燻すことで、身崩れを防ぐほか、秋鮭本来のうまみをギュッと凝縮させているんです」と鴨作さん。化学調味料など添加物は一切使わず、味付けは天日塩のみ。秋鮭本来の風味を楽しんでほしいとも。スモークに使うのは香りがよい山桜のチップ。やさしい塩味と山桜を燻した香り、そして何よりも天然の秋鮭が持つ味わいをしっかりと感じられるスモークサーモンに仕上がっています。
「天然の秋鮭を生食用のスモークサーモンにするために、みんなでたくさんの課題を解決してきました。天然秋鮭のスモークサーモンは、ほかではめったに見られない商品だと自負しています。これからも、組合員さんの食卓にお届けすることができるよう、努力していきたいと思います」と鴨作さんは語ってくれました。

「北海道さけスモークサーモン」は、サラダに使ったり、サンドイッチにしたり、お酒のおつまみにしたり、さまざまな料理の具材として活躍します。毎日の食卓にぜひ気軽に取り入れてみてください。