シンプルな小麦の風味が
感じられる
さっくり口どけのよい食パン
「よく食べるものだからこそ、なるべく余計なものを使わずにつくったシンプルなものを選びたい」。組合員さんのそんな想いに応えて開発されたのが「CO・OP素材を味わう食パン」です。シンプルな配合で素材の味わいをしっかり引き出し、マーガリンやショートニングを使わずに、手間と時間をかけて丁寧につくりました。
素材の味・風味をしっかり味わえる、
シンプルな配合の食パンをつくりたい
「CO・OP素材を味わう食パン」の製造を手がけるのは、大阪府に本社を置く、「株式会社YKベーキングカンパニー」(2023年に「株式会社神戸屋」より現社名に変更。以下、YKベーキングカンパニー)です。1918年、日本ではまだパンが珍しかった時代に、 食パンの製造と販売を始めたYKベーキングカンパニー。 食パンに対するこだわりは並々ならぬものがあります。
「日本生活協同組合連合会の担当者から、“シンプルな配合のパンがほしい”という組合員さんの声に応える食パンをつくりたい、と相談されたのが始まりでした」と話すのは、YKベーキングカンパニーの松川洋さん。
「シンプルな配合ということに難しさは感じませんでした。ただ、今回は“素材を味わう”という点で、小麦粉はもちろん、パンづくりには欠かせない塩、そして砂糖、さらには油脂までとことんこだわり抜こうということで、素材選び、そしてその素材を使用した際の配合には、いつも以上に時間をかけました」。素材を選び、試作を繰り返すこと約半年。納得のいく食感や味わいに行き着くまでは試行錯誤の連続だったといいます。
シンプルだからこそ、
一つひとつの素材にこだわりました
最初の素材選びは、主原料となる小麦粉。国産小麦粉やパスタによく使われているイタリア産の小麦粉などさまざまな種類を試す中で松川さんが選んだのは、パンづくりに適していると言われているカナダ産1CW(NO.1カナディアンウエスタン)という小麦粉。小麦粉の中では食パンづくりにもっとも適したといわれるもので、タンパク質を豊富に含み、しっとりと弾力性のあるパンに仕上げるには最適の品種です。「この小麦粉は、ベーカリーに携わる者の間では、“この粉いいよね”と知れ渡っている小麦粉で、今回はぜひこの粉を使っておいしい食パンをつくりたいと、選びました。ただ、100%の割合でこの小麦粉を使ってしまうと、食感がしっかりしすぎてしまうので、50%ブレンドすることで理想の食感に近づけました。残りの50%は、北米産やオーストラリア産を主体とした、パンづくりに適した小麦粉を配合しています」と松川さん。
次に選んだのはパンづくりには欠かせない塩と砂糖。長崎県の海水を濃縮し、平釜で煮詰め、にがりを残したまろやかな味わいの「CO・OP海からの塩」と、国産さとうきびからつくった原料糖を100%使用した「CO・OP国産さとうきびの砂糖」を使用することにしました。最後に選んだのは油脂。今回は「シンプルな原材料で」というところから開発がスタートした商品なので、油脂にもマーガリンやショートニングを使わず、オリーブオイルを使用しています。
「通常パンづくりに使用している上白糖に比べて、未精製のさとうきびの砂糖を使うことで、パン生地が緩くなりやすく、成型がしにくいことが判明しました。味わいの部分ではコクやうまみが感じられて申し分なかったので、この砂糖を使うために生地の配合や工程を何度も見直し、しっかりとした生地ができるまでかなり苦労しました。また、今回は、素材の味をしっかり感じてもらいたくて、エキストラバージンオリーブオイルを使用しています。かみしめたときにオリーブオイルらしい独特の風味が感じられると思います」と松川さん。こうしてシンプルな配合だからこそ素材の一つひとつにこだわり抜き、素材そのものの味が楽しめる食パンが完成しました。
さっくりとした食感の飽きのこない味わい
「ここ最近はもっちりとした食感の食パンが多く登場していますが、この食パンはどちらかというとさっくりとした食感に仕上がっています。私自身、もっちり系よりは、さっくりとした食感のパンが好きなので、自分が目指していた理想の食パンができた、と自負しています」と松川さん。
トーストすると小麦の香ばしさが広がり、表面はさっくり、中はふんわりとした食感。甘さも控えめで、いろいろな食材とも合います。また、オリーブオイルやはちみつをつけたり、サンドイッチやオープンサンドにもおすすめです。