オホーツク海の
栄養をたっぷり蓄えた
産直のほたて貝柱
コープデリの「産直」は、生い立ちがはっきりわかる農畜水産物を安定的にお届けするための取り組みです。将来にわたり持続できる漁業を応援したいという想いから、水産品の「産直」は、品質の確保がされていることに加え、これからも安定して水揚げがあることが前提。「紋別育ちのほたて貝柱」もそんな想いが込められた商品のひとつです。ほたて水揚げ量日本一の北海道から、オホーツク海で育った良質な紋別産ほたて貝柱をご紹介します。
オホーツクの海が育てたほたてを
次世代につなげるために
北海道の北東部、宗谷岬から知床岬まで弓状に続くオホーツク海沿岸のほぼ中央に位置する紋別市にある紋別漁業協同組合(以下、紋別漁協)。ここでは、ほたての稚貝放流から水揚げ、自営工場での加工までを一貫して手がけています。紋別漁協の高松英明(たかまつひであき)さんと高橋創(たかはしはじめ)さんにお話を伺いました。
「冬は流氷で閉ざされてしまうオホーツク海の厳しい自然環境が、おいしいほたてを育てるんです」と高橋さん。流氷がシベリアの肥沃な大地の栄養をオホーツクへと運び、良質なプランクトンを食べて育つ紋別産のほたては、栄養をその身にたっぷりと蓄えています。
紋別のほたて漁は、1年育てた稚貝を決められた漁場に撒き、海底で4年間成長させて漁獲する「地撒き方式」で行われています。プランクトンが豊富な海で、じっくりと時間をかけて育ったほたての身はうまみが凝縮して、引き締まっているのが特徴。
「ここ最近はほたての成長がよくなって、以前より大きく育つようになってきました。また貝柱が甘くなる時季も早くなっていて、ほたて漁がはじまる3月にはすでに甘いです」と、高松さん。紋別のほたて漁は、流氷が離れる3月頃から開始されますが、産卵前のこの時季は卵に栄養を取られて若干味気ない印象も。しかし、近年のほたては早い時季から貝柱に栄養が行き届き、しっかり甘みがあるのだとか。気候変動などで海の環境が変わりつつある今、海底で育つほたてにはほとんどその影響はないと言いつつも「より大きく、より甘く」育つようになったのは確かです。
オホーツク海の自然環境がおいしいほたてを育てますが、紋別漁協ではその恵まれた環境に頼るだけではなく、大切な水産資源であるほたてを守りながら次世代へとつなげていく「育てる漁業」にも積極的に取り組んでいます。
「4年でとるというルールを決めていて、その年ごとに稚貝を撒く区割りをきっちりしています。前浜を4区画に分割し、それぞれの海区に4年周期で稚貝の放流と漁獲を行う『四輪採制』を取り入れています。けた網と呼ばれるツメのついた網を引き、海底の砂や泥を掘り起し水揚げしますが、小さなほたては再放流するなど徹底しています」。
また、海を豊かに保つためには、陸地の自然保護活動も大切です。前浜に流入する河川の保全対策として、市民と行政と組合が協力し合って植樹活動を行うなど環境保全にも取り組み、2013年には、環境への配慮と水産資源の持続可能な利用を実現した漁業に与えられる「MSC認証」も取得しました。
“海のエコラベル”
MSC認証マークとは
海の資源である「さかな」を枯渇させないよう、漁獲量、漁法、漁の時期、また生態系などに配慮した漁業で獲られた水産品にこのマークが付きます。
瞬間湯通し製法のヒントは、
お寿司屋さんから!?
紋別漁協では港に大規模な加工場を持っているので、水揚げされたほたて貝は計量した後、10分以内というスピードで加工場に運ばれます。ここでは、1日に約40〜45トンのほたてを加工しています。
通常、ほたてを殻から外す作業は「ヘラ剥き」と呼ばれ、ヘラを貝殻に差し込んで行いますが、それでは貝柱の剥いた面がキズになり、うまみが流出しやすくなってしまうという欠点がありました。そこで考案されたのが紋別漁協ならではの加工法「ブランチ(瞬間湯通し製法)」です。
80〜95℃のお湯で8〜15秒間、ほたてを殻ごと湯通しするのです。そうすることで、ヘラを使わなくてもほたてが殻からスルッと外れるようになります。その後、殻を外したほたてを一気に冷却することで、貝柱の中にうまみがギュッと閉じ込められます。この冷却が肝心で、加工場と共に製氷工場を持ち、氷が潤沢にある紋別漁協ならではの加工法です。
この「ブランチ(瞬間湯通し製法)」、実はあるきっかけから生まれたもの。かなり前のことなので聞いた話としてこう教えてくれました。
「上司が東京のお寿司屋さんに行ったときにほたての握りを頼んだら湯引きしたほたてが出てきたそうなんです。産地では生で寿司ネタにするのが当たり前でしたから、初めて湯引きしたほたてのお寿司を食べて、プリッとした食感やうまみが増していることを感じて、こっちでも真似できないか、と始めたのがきっかけです」。
もちろん、湯引きはヒントにはなりましたが、そこからは湯通しの方法や温度管理、時間の設定など試行錯誤の連続。殻からは自然に外れるけれど、貝柱そのものには熱が入りすぎないギリギリの線を探り出し、現在の「ブランチ(瞬間湯通し製法)」が誕生しました。
「紋別産のほたてはもともと繊維質がしっかりしていますが、ブランチすると貝柱の形自体も生剥きのものに比べてさらにしっかりします。生のものより貝柱がペタッとならずに立つ感じです」と高橋さん。「瞬間湯通し製法」によって、貝柱にキズをつけずにうまみがギュッと閉じ込められることはもちろんですが、表面に膜ができることにより水を吸いにくく、ドリップが出にくい仕上がりになるという利点もあります。
また、加工時にはオホーツク海の海水を殺菌して使用。育ってきた環境に近い海水を使用することで、うまみの流出を低減しています。
貝殻から外されたあとは、熟練のスタッフによって一つひとつ丁寧な手作業で、貝柱からヒモなどを取り除いていきます。滅菌海水で貝柱を洗浄・殺菌したあとは、トンネルフリーザーを通して一気に凍結。12〜13分という短時間で冷凍することで、ほたての繊維と組織を壊さずにうまみと鮮度を閉じ込めています。
繊維質がしっかりしている「紋別育ちのほたて貝柱」。刺し身にするときは、繊維にそって縦にカットするのがおすすめ。また加熱すると甘みが増すので、フライやバター焼きなどもおすすめです。
「今後は組合員さんとの
産地交流も楽しみにしています」
コープデリでは、これまでも水産資源を守る取り組みを続けてきましたが、2017年にあらためて、水産品の「持続可能な調達方針※」を定めました。海の資源は、海水温上昇の影響や乱獲などにより、だんだん減少しているのが現状。この先もおいしく魚を食べていくためには、将来にわたり持続可能な漁業を応援していく必要があります。水産品の産直産地は、品質が確保されていることに加えて、これからも安定して水揚げがあることが前提です。その条件を満たしたとして「紋別育ちのほたて貝柱」は産直品に認定されました。
また、産直産地の生産者と組合員さんとの交流も広げてきました。
紋別漁協でも今後、産直産地として組合員さんとの交流を考えています。
「冬場は流氷観光で活躍している『ガリンコ号』という船があるのですが、ほたて漁の時季は間近で漁の様子を見ていただけるプランなどもあります。ぜひ、産地に来ていただきたいです」と、組合員さんとの交流を楽しみにしています。
※コープデリグループの「水産方針・持続可能な調達方針」について、詳しくはこちらから
コープの産直とは
コープの「産直」とは、食の安全・安心の取り組みの一つです。商品の「おいしさ」、環境への「やさしさ」、生産者と組合員の「つながり」を大切に、生産から流通までの過程を明らかにしています。