おいしい。家族一緒に言えるのがうれしいな

「卵・乳・小麦・そば・落花生・
エビ・カニ」を使用せずに作った
「7品目を使わない」シリーズ
「7品目を使わない」シリーズ

「7品目を使わない」シリーズは、コープデリの「家族が一緒に食べられる食物アレルギー配慮食品を」との想いから生まれた商品です。本シリーズはおいしさにこだわり、家族みんなが満足できる味に仕上げました。製造に携わった人々の想いをご紹介します。

作っているのはお米の会社です

アレルギーを持つ方のいるご家庭ではさまざまな苦労があるという声を聞きます。他の家族と食材だけではなく調理の器具まで分けたり、いつも同じようなメニューになってしまったり…。一人だけ家族とは違うものを食べている切なさや、食事の準備に気が抜けない気苦労もされていると思います。コープデリでも食物アレルギー配慮食品をそろえ、そんな悩みを少しでも解決するお手伝いがしたい。そんな想いから開発されたのが、「7品目を使わない」シリーズです。

製造を手がけているのは、秋田県にある株式会社大潟村あきたこまち生産者協会(以下、大潟村あきたこまち生産者協会)。秋田県産米・あきたこまちの生産を基盤としながら、お米の加工・販売までを一貫して担っています。

大潟村あきたこまち生産者協会の涌井徹さんは、自らも田んぼを持ち、トラクターやコンバインに乗るという根っからの農業者。過去にはお米の作付けを制限する国の減反政策に「お米を作り、売る自由」を求めて声を上げ、それを機に今の会社を設立したというお米と農業への深い想いを持った人物です。

若者が夢と希望を持てるような自立した農家の形を作り上げたい。そんな想いから、お米の加工や販売まで自ら関わることでお米の消費拡大の道を探し続けてきました。

株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 涌井徹さん

株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 涌井徹さん

「お米で一体何が作れるか、ずっと考えてきました」。

最初に作り始めたのは、おはぎや餅、お赤飯など、主食として食べられる白米の延長上にある加工食品。しかしこれらは大手の会社でも作っているため、同じ土俵の域を超えられていないという思いがありました。「自社ならではと言える価値を作り上げたい」とお米の可能性を追求する中、お客さんとの話の中で必ず出てきたのが「食物アレルギー」という言葉です。小麦が食べられない人でもお米ならば食べられる。お米を使った加工食品の価値をそこに見出しました。そこで本来は小麦で作られている商品をお米に変えてみようとの発想で、米粉を使ったパスタ麺などの開発を始めます。

お米の持っている特徴を生かして、食べた人に喜ばれるような自社ならではの加工食品を作りたい。そんな想いが結果として食物アレルギー配慮食品につながりました。

家族全員で一緒の料理を食べられるように

今回コープデリが持っていた想いは「家族全員で一緒に食べられるものにしたい」ということ。調味料や食材を加えてひと手間ふた手間かけることで家族の好みに合った味を作ることができる、そんな食物アレルギー配慮食品を目指しました。

大潟村あきたこまち生産者協会では現在、小麦・大麦・ライ麦を原材料に含まないグルテンフリーのパスタ麺や調理用ソースをはじめ、お米を使ったさまざまな加工食品を作っています。「7品目を使わない」シリーズは、それらの商品にコープデリならではのこだわりを加えることで作られました。

左上)「7品目を使わない 野菜でつくったトマトソース」の調理イメージ、右上)「7品目を使わない うどんタイプ」の調理イメージ、左下)「7品目を使わない パンケーキミックス粉」の調理イメージ、右下)「7品目を使わない お好み焼きミックス粉」の調理イメージ

左上)「7品目を使わない 野菜でつくったトマトソース」の調理イメージ
右上)「7品目を使わない うどんタイプ」の調理イメージ
左下)「7品目を使わない パンケーキミックス粉」の調理イメージ
右下)「7品目を使わない お好み焼きミックス粉」の調理イメージ

「物足りない味になりがちな食物アレルギー配慮食品をおいしく作りたい」。根底にはいつもそんな想いがあると、当時この商品の開発に携わったみなさんは話します。

写真左から)商品開発に携わった、株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 伊藤優季さん、三浦美香子さん、石川茜さん、新田陽佳さん(2017年取材当時)

写真左から)商品開発に携わった、株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 伊藤優季さん、三浦美香子さん、石川茜さん、新田陽佳さん(2017年取材当時)

「まず第一には当然、お子さんが喜んで食べられるもの。今回、私たちが一番関わったソースの開発では、味つけをやさしくすることや、具材の入れ方を工夫することで、口の中で舌ざわりや、ほどよい食感が楽しめるように気を使いました」。

お米をすりつぶして半液体状にした「お米のピューレ」をソースに取り入れることで自然なとろみをつけ、素材の香りや味を生かす仕上がりになっています。さらに、限られた原料の中でうまみを加えていくために、野菜をふんだんに使用しています。

「ハンバーグなどのソースは味が濃いと残ってしまいがちですが、この商品は素材のうまみを生かしたやさしい味わいに仕上げてあるので、ソースだけでもおいしく食べていただけると思います」。料理のベースになるソースとしてのおいしさにこだわることで、子どもだけでなく大人も楽しめる味に仕上がりました。ご家庭で調味料や香辛料を加えて自由にアレンジすることもできます。

「商品パッケージの二次元バーコードから私たちが提案するレシピを見ることができますが、それ以外にも好きなように使って試してみてほしいです。食物アレルギー配慮食品としての価値だけではなく、素材のおいしさを楽しんでいただき、家庭の味を作るのに役立ててください」。

商品の中にアレルギー物質が
入るのを防ぐために

「食物アレルギー配慮食品を製造する上で一番大切なことは、コンタミネーションへの対策です。コンタミネーションとは、製造工程や原材料の漁獲時などの際に、原材料として使用していないにも関わらずアレルギー物質が混入してしまうこと」と長谷部満さんは話します。

「弊社で行っているのは、そもそも工場内にアレルギー物質を持ち込まないようにするという管理の仕方です。これは工場ができた当初から一度もアレルギー物質を持ち込んでいないからできること。一度入れてしまえばもう前の状態には戻せません。商品が認知されるまでには売れなくて悩んだ時期もあり、工場内に小麦やグルテンを入れてしまうか否かの葛藤もありました。

工場内にアレルギー物質を持ち込まないためには、原料に含まれていないことをしっかりと確認する必要があります。一番難しいのは、原料自体を探し厳選すること。可能な限り生産している工場を訪問して、生産に関する商品企画書を精査したり、自社の基準で作った食物アレルギーに関する設問に答えてもらうなど、さまざまな方法で管理体制や状況を確認しています。

扱っている商品が多い会社であればあるほど工場にいろいろな原料が持ち込まれる機会が増え、アレルギー物質混入の可能性が高まります。だからたとえばお米だけを扱っている弊社と同じような製造形態が出どころの原料の方が把握しやすい。一番はお取引先との信頼関係によるので、結果何社かの原料に絞られています。

このような厳正なコンタミネーション対策のもと、できあがった製品は、特定原材料7品目についての簡易アレルゲン検査を行った上で出荷しています」。

株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 長谷部満さん

株式会社大潟村あきたこまち生産者協会 長谷部満さん

使える食材が限られることで物足りない味になり、食べられないものがある人だけが料理を分けて食べるものだというイメージがあった食物アレルギー配慮食品。けれども素材や作り方にこだわることで誰もが満足できるおいしさを実現することができました。作り手たちの想いと、さまざまな工夫や配慮のもと作られた、「7品目を使わない」シリーズは、家族みんなで一緒の料理を食べられる喜びをお届けします。

公開2018年2月、改訂2024年1月