ヒトとコトと

商品に携わる人と想い、伝えます。

発売から10年、変わらぬ味で愛される「甘辛チキン南蛮カツ」自分流に使いこなすママ、増えています

「甘辛チキン南蛮カツ」に組合員さんからこんなコメントをいただきました。「一度チンしたカツにたまごを割り入れて、もう一度レンジにかけてたまごとじにします。半熟くらいでご飯にのせて…急いでいるとき、お腹がすいている子どものリクエストNo.2くらいです。先に玉ねぎスライスもチンして一緒にのせると罪悪感もなくなります(笑)」。「No.2くらい」というのがいいですね!お腹がすいている子どものリクエストNo.1は、やっぱりお母さんの手料理かもしれません。でも忙しくて作ってあげられない時もある。そんな時、「甘辛チキン南蛮カツ」は、お母さんのリクエストNo.1でありたいと思います。

アレンジして良し、お弁当によし、どんなときも子どもに笑顔をもらえる「甘辛チキン南蛮カツ」。発売からずっと変わらない味で、愛され続けて10年。食研さんと作ったコープの限定商品です。今回は、1週間におよそ10万パックの「甘辛チキン南蛮カツ」を製造しているという食研・千葉工場にお伺いしました。

千葉市郊外、周囲に緑が広がる自然豊かな場所にある食研・千葉工場

「甘辛チキン南蛮カツ」── 製造ライン編

「甘辛チキン南蛮カツ」の製造を始めた10年前、加熱後のカツにタレを染み込ませる味付きの商品はまだ珍しく、食研さんでも製造したことのないタイプの商品だったといいます。そこで、この商品のために製造ラインを新設するところからスタート。加熱後のチキンカツにタレを付けるための機械を新たに導入し、タレを循環・ろ過する機械は別のラインのものを改良するなど、工場と開発の職員が一丸となって「甘辛チキン南蛮カツ」専用の製造ラインを作り上げました。

左)帽子・マスク・白衣を着用後、念入りにローラーがけ 右)手洗い、消毒を済ませた後、さらにエアシャワーに

工場内に入ってまず驚いたのは、徹底した衛生管理体制です。「食」に求められる安全性やクリーン化などの厳しいニーズにきちんと対応していることを確認。私たちも見学する前に、帽子、マスク、白衣を身に付け、完全防備でいざ製造ラインに潜入です!

甘辛チキン南蛮カツ 製造工程

  1. 1.検品
    原料の国産鶏ムネ肉を一つひとつ丁寧に検品して、残骨などがないかを確認します。ここでは、ベテラン職員と新人が交互に並ぶように配置され、見落としがないようにダブルチェックがされています。
  2. 2.充填・成型・凍結
    短時間で味を馴染ませるために真空状態で肉に下味をつけた後、原木と呼ばれる棒状に成型します。充填機で1本1本充填された後、専用の凍結機で短時間で凍結させます。短時間で凍結させるのはドリップを最小限に抑え、肉のおいしさを閉じ込めるためです。
  3. 3.温度調整・スライス
    原木をスライスできる温度まで温度調整を行います。この際、原木の外側と内側が均等に解凍されるように解凍方法を工夫しています。このことにより、原木の温度が均一になりスライスの安定性が保たれます。
  4. 4.打ち粉
    皮が多すぎるものや割れているものを目視で取り除き、打ち粉をします。機械で打ち粉を付けた後、粉の付け過ぎや付着不良は人の手によって調整しています。打粉を均等につけることによって次工程のバッター液がのりやすくなります。
  5. 5.バッター付け
    バッター液は、中種と衣の結着を良くし、ぬめりを抑える役割を担っています。自社開発した打ち粉とバッターで肉のまわりにバリヤーを作り、肉から衣への水分移行をブロックする独自の技術により、レンジアップしてもサクッとした食感になります。
  6. 6.パン粉付け
    オリジナルのパン粉は、繊維方向に粗めに挽くことでサクッとした食感を出す工夫がされています。油切れが良く、その分タレが染み込みやすくなります。
  7. 7.加熱工程
    いよいよフライヤーへ。微妙な温度調整を行い、表面をサクサクに揚げます。この段階では中まで熱を入れません。これは肉の食感をしっとりさせるために考えられた製法です。その後別の加熱方法で加熱を行うことにより、中まで熱を通します。この2段階加熱調理によって、レンジアップした時に衣の食感がちょうどよく仕上がります。
  8. 8.タレ付け
    チキンカツが熱いうちにタレのプールとシャワーを通して、上下からしっかりとタレ付けをします。その後、付けすぎたタレを落とし、付着量を調整して味のブレを無くしています。
  9. 9.凍結
    スパイラル状の機械の中を通して、急速に凍結させます。冷凍しても衣にパン粉のツノが立っている状態が保たれています。短時間で凍結させるのは、レンジアップしたときの再現性をよくするためです。
  10. 10.トレー詰め
    トレーに詰めるのはすべて職員の手作業です。ツノ状に立っているパン粉を落とさずに詰めるのは機械では難しいため、目視検品も行いながら人の手で丁寧に詰められていきます。
  11. 11.包装
    おなじみのパッケージで包装された「甘辛チキン南蛮カツ」は、異物や形状確認、印字やフィルムはがれを、機械と人の手を使って最終チェックした上で出荷されます。

多くの人が携わり、長い時間をかけて作り上げられた「甘辛チキン南蛮カツ」独自の製造ライン。その随所に見られたのは、様々な工夫やアイディアでした。

たとえば、2段階加熱調理は、家庭でレンジアップして食べる時に、衣の状態がちょうどよくなるようにと考えられたもの。また、タレ付けの工程でも、付着量を安定させるために、フリーザー内がタレだらけになるというアクシデントにも屈せず、何度も調整を行った結果、一度しっかり付着させたタレを落として味を調整する方法を考えました。全体の見学を通して印象的だったのは、オートメーション化されている一方で、それぞれの工程に人の目や手が入り、思っていた以上に「手作り感」があるということ。この商品の開発や製造に関わる多くの人たちの情熱や努力、そして食研の確かな技術力によって「甘辛チキン南蛮カツ」は作られています。

「甘辛チキン南蛮カツ」── 開発担当者編

「甘辛チキン南蛮カツ」の要でもあるオリジナルの甘辛タレを開発した担当者さんにもお話を伺いました。

なんと、タレの開発を担当した当時はまだ二十代だったという妻沼聡(つまぬまさとる)さん。「当社では、ひとつの商品に対して基本的に、開発担当1人、営業担当1人という体制を取っており、この商品のタレ配合は一から開発しました」と自信を持って答えてくれました。プロジェクトではなく、たった1人でタレの開発に挑んだ経緯から伺いました。


実は「甘辛チキン南蛮カツ」の前に、「南蛮風のチキンカツを作ろう」というところから開発がスタートした別の商品があったのですが、当時の担当者が宮崎県のご当地メニュー「チキン南蛮」を知らずに、味付けの参考として「あじの南蛮漬け」のタレを徹底的にリサーチして作ったんです。

「チキン南蛮風」ではありませんでしたが、鶏ムネ肉でもパサつかずにおいしく仕上がった自信作でした。ところが発売前に商品化の話は立ち消えになってしまったのです」と妻沼さん。食研ではせっかくの商品をお蔵入りにするのはもったいない、とコープ向けに再提案することを検討。そこで、白羽の矢が立ったのがまだ商品開発を担当して2年目の妻沼さんでした。「せっかく生協様向けに提案するのであれば、小さなお子さんからご年配の方まで幅広い層に支持されるようにタレの味を見直したい」と一度完成していたレシピを再考することにした妻沼さん。それまでは、専門メーカーのタレを仕入れていたため、食研としても自社ブレンドのタレを使うのは、初の試みだったと言います。

「タレだけで味を見たときにおいしくても、カツに染み込ませたときにおいしいとは限らない。当たり前のことですが、何度も何度も調整を繰り返しました」。
開発中は、年末年始の休みも返上して取り組んだという妻沼さんですが、当時はまだタレの作り方自体よくわかっていなかったと、振り返ります。

「タレの開発を担当するのは初めてで、勉強をしながら同時進行で作り上げていった感じです。まだ若かったこともあって、リスクなどを考えずにがむしゃらに取り組みました」。
複数の甘味を組み合わせ、複数の酢、複数のしょうゆを配合し、深みを出すために魚介エキスも加えてじっくり煮込むことで、見事に甘みと酸味が調和したオリジナルの南蛮タレを作り上げることに成功しました。
また、当時はまだカツの衣にタレを染み込ませるタイプの商品は一般的ではなく、そこもチャレンジだったと言います。「揚げたての衣にタレをジュッと吸わせることによって、より味が染み込みやすくなり、それに伴って食感もやわらかくなります。揚げたてのチキンカツにタレをつけるための機械を導入し、付着量の安定のために調整を繰り返し、工場と開発が一丸となって取り組みました」。

その結果、他にはないオリジナリティのある商品が完成したのです。

発売から10年、今や押しも押されぬ人気商品へと成長した「甘辛チキン南蛮カツ」。
妻沼さんもその人気を実感していると言います。
それだけに開発者としては、複雑な思いもあるようで、「この商品を超える商品を作りたいという思いがずっとあります。キザな言い方になってしまいますが、この商品を超える『次』を作らないと、開発者として一歩前に進めないという思いがあるんです」。

最後にこの商品への思いもお聞きしました。
「今でこそSNSやインターネットが普及していますが、発売当初はほとんど組合員さんの口コミによって広がっていった商品です。組合員さんに育てられた商品だと思っています。
本当にありがとうございます!これからもいろいろなご意見をいただきながら、その声を大切して次につなげていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いします」。

アレンジでどんどん広がる、
魅惑の「甘辛チキン南蛮カツ」ワールド。

ピタサンド/ピタパンに入れてお手軽ランチに。
おかずサラダ/サラダにプラスしてメインディッシュに。

これまでにタルタルソースや柚子塩付きや国産野菜入りなど、いろいろな味のバリエーションを加えてシリーズ化されてきた「甘辛チキン南蛮カツ」。
「お弁当にちょうどいい!」のはもちろん、いろいろなアレンジを楽しめるもの魅力です。

親子丼/たまごと合わせてボリュームのある丼に。
お茶漬け/和風ダシをたっぷりかけてお夜食に。