ヒトとコトと

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鮮度を逃さず作った佐田岬産パラパラしらす。ありそうでなかったかも、素材そのまま。鮮度を逃さず作った佐田岬産パラパラしらす。ありそうでなかったかも、素材そのまま。

釜あげしらすは、炊き上げる際に食塩を加えるのが一般的ですが「素材そのままパラパラしらす」は、その名の通り、一切食塩を加えずに炊き上げ、パラパラに凍結された釜あげしらす。離乳食作りや塩分を控えたい人が、そのまま使いたい分だけ使えて便利です。
今までありそうでなかった食塩無添加の釜あげしらすができた背景には、良質なしらすの漁場として有名な四国佐田岬にあるメーカーとコープデリとの信頼関係がありました。

妻の離乳食作りの
手間を少しでも減らせたらなぁ。

コープデリの「素材そのままパラパラしらす」は、食塩無添加の釜あげしらすです。
傷みやすいしらすは、鮮度を保つために食塩を加えてゆでるのが一般的。しかし、コープデリの水産担当バイヤーには、「塩分を控えたい人向けの商品を作りたい」という想いがずっとありました。それはまだお子さんが幼い頃に見かけたこんな光景がきっかけになっています。単身赴任中でなかなか子育てを手伝うことができずにいた担当バイヤーが自宅に戻ると、奥様がお子さんのために離乳食作りをしていました。その手元をのぞくと、ちょうどしらすをゆでているところ。「そのまま使えるしらすをどうしてわざわざゆでているんだろう」と不思議に思い聞いてみると「塩分が気になるから塩抜きをしている」という答え。担当バイヤーは、「それじゃなくても子育てを任せっぱなしなのに、離乳食作りの手間を少しでも減らしてやれたら」という思いにかられたといいます。

そのときの光景がずっと脳裏に焼き付いていた担当バイヤーは、数年後、離乳食作りにも使えて、さらには塩分を控えたい人にも安心して食べてもらえる食塩無添加の釜あげしらすを作るべく、以前からつきあいのあった朝日共販株式会社(以下、朝日共販)に相談を持ちかけました。

「他と違うことをしましょう」、
「うちの技術ならできる」。

左から 朝日共販株式会社 代表取締役社長 福島 大朝さん、コープデリ連合会 土屋バイヤー

四国愛媛の佐田岬に本社を置く朝日共販では、以前からコープデリの「釜あげしらす」を製造していました。そのつきあいの中でお互いに信頼関係が生まれていたこともあり、担当バイヤーは「食塩無添加の釜あげしらすを作ってほしい」という想いを代表取締役社長である福島大朝(おおとも)さんにぶつけました。
「食塩無添加のしらすを作れる設備環境があるのはどこだろうと考えた時、真っ先に鮮度にこだわっている朝日共販さんが思い浮かびました。そして社長に、これから先のことを考えた時に、多くのメーカーがあるしらす業界で、みんな同じことをしていてはダメだと思うという話をしました。ブームにのって減塩の釜あげしらすというのは見かけるけれど、無塩というのはないから、もしできたら面白いだろうと持ちかけたんです」。
一方、福島社長も「とにかくバイヤーさんの熱い想いに打たれました。うちなら作れるという自信もありました」と当時を振り返ります。

担当バイヤーが驚いたのは、相談した翌日にはサンプル商品ができあがっていたこと。福島社長は言います。「うちの技術では決して難しいことではなかったんです。ただ、塩なしの商品が受け入れられるかどうかは疑問でした。でもバイヤーさんの話を聞いて、やってみようと思えたんです。以前からコープデリさんの『想いのある商品を組合員さんに届けたい』という姿勢に共感していたというのも大きな理由のひとつです」。「最終的には人と人なんです」と二人。作り手である朝日共販とコープデリとの長年のつきあいの中で生まれた信頼関係が、これまでにはなかった食塩無添加の釜あげしらすという商品を生み出しました。

すべてにおいて
優先しているのは、鮮度です。

四国の最西端、愛媛県佐田岬半島の中ほどにある人口300人足らずの小さな漁村、伊方町川之浜に本社がある朝日共販。その社屋の目前に広がる宇和海は、全国でも有数のしらすの漁場として知られています。

佐田岬半島は、瀬戸内海と太平洋をつなぐ豊後(ぶんご)水道に突出する細長い半島です。豊後水道の入り口で産卵されたカタクチイワシの稚魚は、豊富なプランクトンを求め北上。その通り道となるのが宇和海沿岸です。朝日共販のある伊方町川之浜に面した遠浅の海には特に小さくて良質なしらすが寄ってくるといいます。

夜明けとともに、朝日共販専属の「福善船団」が川之浜の漁港を出発します。網船6艘、漁場と港を行き来する運搬船6艘と、合わせて12艘からなる船団が朝日に照らされて沖に向かう様子は勇壮です。2艘の網船で約200メートルの船びき網を張り、しらすを捕らえます。
しらすの鮮度は、海に網を入れ、水揚げして船上の活間(いけま)に入れるまでの時間で決まるため、漁師さんたちの動きにムダはありません。魚の量と海水のバランスを瞬時に判断し、氷も加えて活間に入れていくのが腕のいい漁師の仕事。福善船団の網は大漁であろうとなかろうと1時間で揚げられます。それは、漁獲量よりも鮮度を優先するため。運搬船は、日の入りまで漁場と港を1日に6〜8回行き来して、新鮮な状態でしらすを運びます。

港では、スタッフが待機。船から運搬用の容器に移されたしらすは迅速に加工場へと運ばれます。漁場から加工を開始するまでわずか15分ほど。加工場の目の前が漁場という得難い環境がこの速さを実現させています。しらす漁は鮮度との戦い。20代から30代の若き漁師さんたちが、漁から水揚げ、運搬と、手際よくこなしていきます。
第一次産業の後継者不足が深刻な今、ここではそんな心配をよそに、みんなが漁師という仕事に誇りを持って働いているのが印象的でした。

鮮度のええもんは、
何も手を加えなくても
ええもんができる。

佐田岬周辺で獲れるしらすは、カタクチイワシの稚魚です。鰯は魚へんに弱いと書くことからもわかるように鮮度が落ちやすい魚。その稚魚も例外ではありません。その鮮度を守るためには、漁から加工までのスピードが肝心です。獲れたてのしらすをすぐに港に持ち帰ると、すでに加工場では釜あげにする準備が整っています。朝日共販が本社に構える加工場は、敷地面積3,000坪、工場の広さは1,500坪。しらす工場としては日本一のスケールだといいます。ここでは、独自の完全自動化システムラインで、水揚げから加工、出荷までを行っています。

加工場に運ばれたしらすは、直ちに対流釜に入れられ、無添加でボイルされます。通常の釜あげしらすであれば、ここで塩を加えるところですが、「素材そのままパラパラしらす」は、一切食塩を加えずにゆであげます。鮮度がいいからこそ、手を加える必要はないと、至ってシンプルな加工方法にこだわっています。100度で約3分間ボイルされたしらすは、均一にならし、独自の冷却ファンでわずか1分足らずで一気に冷まします。常温からまずマイナス5度にまで持っていくスピードが大切で、この時間をできる限り縮めることが、解凍した時にドリップを出さず、うまみのある釜あげしらすに仕上げるコツだといいます。また、ボイルすることで水分を含んだしらすをすぐに冷ますことによって雑菌の繁殖を防ぎ、鮮度が維持されるという効果もあります。

完成した釜あげしらすは、マイナス25度の冷凍倉庫に保管。水揚げからここまでの時間はわずか1時間ほどです。

ボイル・急速冷凍までの一次加工を終えたしらすは、解凍後、選別作業へと工程を進めます。最も重要なのは異物などが混入されていないかの確認。解凍後、選別機にかけ、X線探知機・金属探知機による検査を行います。そして、最終チェックは、やはり人の手。石や貝殻、異物はないか、ひとつひとつ熟練の技術を持ったスタッフが厳しく検品します。

しらす漁が行えるのは4月から11月頃までの約7カ月間。朝日共販では、1年中安定供給するために、500トンの収容が可能な冷凍倉庫を構えています。原料コンテナには、1ロットごとの製品履歴を管理する製品番号を添付。漁から加工、販売まで一貫して行うことで生産履歴を明らかにし、商品1個単位のトレーサビリティを確立しています。

しらす漁で小さな漁村を活性化

朝日共販株式会社のみなさん

朝日共販の最大の特徴は、専属の漁師と漁船を持つ網元でもあるということ。しらす漁と加工を連携して行い、鮮度抜群の商品を安定的に供給できるのが強みです。「しらすは通年で販売されていますが、漁は約半年間の勝負です。半年間で1年分の利益を出して、後の半年を暮らさなければならない。こんなことをしていたら小さな漁村なんてすぐに衰退してしまいます。そこで獲った魚を自社で加工して付加価値を付けようと考えました」と福島社長。さらに雇用を増やすことにも積極的です。「漁業の持つイメージ、常識を変える必要があります。漁業といえば厳しい仕事というイメージですが、そうではなく明るく楽しい仕事にしたい。私たちは、漁師も社員として雇用。漁業の働き方を変えることで、後継者を育てることに力を入れています」。印象的だったのは、漁師さんはじめ、工場や事務スタッフみなさんの笑顔。生まれ故郷である小さな漁村を、地場の産業を通して活性化したいという福島社長の熱い想いが働く人々にも伝わっているのを感じました。

食塩を加えて仕上げた
こちらの商品もあります。

コープデリ×朝日共販株式会社の
四国佐田岬産釜あげしらす 25g×3

佐田岬の前浜でとれたカタクチイワシの稚魚であるしらすを対流釜でふっくら炊き上げたあと、急速冷凍でうまみをギュッと凝縮。水分量約70~80%、塩分量目安約2~3%で、仕上げました。食べ切りサイズの25g個食パックで必要な分だけ使えます。