食の安全というバトンを
食卓へ
「コープデリ商品検査センター」
コープデリの商品が生産者から組合員さんのもとに届くまでには、「フードチェーン」と呼ばれるつながりがあり、そこにたずさわる一人ひとりが食の安全確保に取り組んでいます。その一端を担っているのが、「コープデリ商品検査センター」です。ここでは、「食の安全」というバトンを「食卓」というゴールまでしっかり届けるために、食品に関わるさまざまな検査を行い、科学的なデータで食の安全の取り組みをバックアップしています。
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商品検査の様子を見ていただくことで、
食品安全の取り組みを伝えたい
組合員さんからの「安心して食べたい」、「安全な食品がほしい」という声にお応えして、迅速かつ信頼性の高い食品検査ができるようにとの想いから、コープデリは、1995年に自前の検査施設として「コープデリ商品検査センター(当時は、コープネット商品検査センター)」を開設しました。商品検査センターの役割は、安全で確かな品質の商品をお届けするため、科学的なデータでバックアップすること。日常的に残留農薬や食品添加物、放射性物質、微生物などの検査を行い、品質に問題がないか、約束通りに商品が作られているかを科学の目で確認しています。
旧商品検査センターの老朽化に伴い、2018年4月に開設された新しい「コープデリ商品検査センター」(さいたま市北区)は、コープデリ連合会の宅配センターの建物をリニューアルして設置されました。新しい施設のコンセプトは、フードチェーンにたずさわる一人ひとりが食の安全確保に取り組み、それら全てがつながる「食の安全リレー」をイメージした「サークル=わ(和・輪)」。食品の安全に関わるさまざまな検査と合わせ、コミュニケーションを大切にしたいとの想いから、コープデリグループの取り組みや、科学的な視点からの食の安全に関する情報などもお伝えします。
これまで、商品検査センターの見学は主に職員向けにしか行っていませんでしたが、新センターでは組合員さんの見学も積極的に受け入れたいと、検査見学通路を設けました。検査室はすべてガラス張りで、通路から検査の様子をしっかりと見学できるようになっています。「多くの組合員さんに実際に検査の様子を見ていただくことは、商品を安心してご利用していただくことにつながると思うんです」と話す斎藤依子課長。「検査担当者一人ひとりが、日々、緊張感を持って検査に取り組んでいます。その真剣な眼差しを実際に見ていただいた組合員さんから『こんなに一生懸命に検査してくれているんですね』というお声をいただいております」。
実験室では、ライトを使った手洗いチェックや、果汁を使わないでオレンジジュースを作る実験など子どもも楽しく学べる実験メニューが用意されているほか、テストキッチンでは、コープデリで提供しているミールキット商材を実際に調理して、自分で調理した食材で昼食をとってもらうなど調理体験も行われています。斎藤課長は、「夏休みや冬休みなどに親子で来ていただいて、“食の安全”について一緒に考える機会にしてもらえたらいいな、と思います」と話します。
大切にしたのはコミュニケーションです
「この新センターで一番大切にしたのはコミュニケーションです」という言葉通り、組合員さんとのコミュニケーションはもちろん、職員同士が連携して検査に取り組めるように配慮した施設になっています。「以前はフロアごとに分かれていたので、たとえば微生物検査と農薬検査の担当者が声を掛け合って、というようなことはあまりなかったのですが、今はワンフロアでそれぞれの検査の様子が見通せるので、ちょっとしたことでもすぐに情報交換ができて、とてもスムーズです。お互いの仕事が見えるというのはやりやすいな、と実感しています」。
また、もうひとつ大切にしているのは迅速な対応。コープデリでは独自の商品検査センターを持つことにより、検査期間の短縮、組合員さんへの迅速な情報提供を可能にしています。「ここでは基本的に取り扱い前の商品を検査しているので”今日検体を入れるので、明後日までに結果がほしい”というようなことは日常茶飯事です。外部の検査機関だとやはり時間がかかるので、自主検査ですぐに結果が出せることは強みだと思っています」。
商品検査は「組合員さんからお申し出があったとき」にも行われています。「”食品から薬品臭を感じた”などのお申し出があったときにもすぐに検査して、結果をきちんとお知らせしています。どんなことでも気になることがあったら相談してほしいと思います。たとえば、”冷凍食品にたっぷりの油で揚げると書いてあるけど、たっぷりの油ってどのくらい?”といった素朴な疑問でも、こちらで実際に実験してお答えすることも可能です」。
新センターでは、従来の検査に加え、新たに遺伝子検査技術を用いたノロウイルス検査を開始し、埼玉県衛生研究所と共同でトマトに含まれるアルカロイド類の検査研究を進める予定。さらに現在は、食品の安全性の検査が中心ですが、将来的には食品のおいしさを数値化し、商品のおいしさを担保するような取り組みにも挑戦していきたいといいます。
「たとえば”うまみたっぷり”と表現した時に、その根拠をお示しできるように官能検査パネラーや味覚センサーなどによって味を数値化して、”おいしさ”の後押しをしたい。自信を持って”うまみたっぷり”です、とカタログに載せられるようにしたいですね」と斎藤課長。
毎日食べる食品は、生活に欠かせないものだからこそ、その商品に裏づけがあるというのはとても大切なこと。安全で確かな品質の商品をお届けするために、科学的なデータでバックアップするのが商品検査センターの役割です。コープデリ商品センターでは、商品検査の取り組みを通じて、組合員さんと「一緒に考え、ともに成長していく」ことを目指しています。コープデリがお伝えする「気づき」もあれば、組合員さんからの発信による「気づき」もあり、一方的に伝えるのではなく、コミュニケーションしながらともに学んでいきたいと考えています。